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2017年02月18日

角型クッカー蓋の改造

創意工夫のやっつけ仕事でキャプテンスタッグさんの
角型ステンレス製ラーメンクッカー(長いね〜〜)の蓋をチョビッと改造しました。


キャプテンスタッグさんの角型・・略して角さんは
蓋のツマミ(チョボ)を除けばオールステンレス製でラーメン(袋入り)やうどんや蕎麦(チャンポンも)作って食うのにピッタシのサイズとデザイン。ハンドルもちょっと外してちょっと曲げ直せば起こした時も畳んだ時にもそれぞれの位置で軽く固定できる様になるなど、なかなか良く出来た日本製のお鍋です。ところが、、このひとつ前のブログでも触れましたが、このクッカーの蓋についているツマミ《チョボ)がデカすぎてパッキングやスタッキングの邪魔になるとの理由でいつの間にやら《使われない道具》組に落第しておりました。


このまま眠らせていても勿体無いので問題の蓋のツマミを取り替えることにしました。上の写真にはオリジナルの木製ツマミ(左)そして工具箱にあったフランジナット(中央)、古いコンデジ用のハンドストラップ取り付け金具(右)が写っています。オリジナルの木製ツマミはM5のステンレス製ネジで裏から固定されているだけなので取り外しは簡単。先ずはオリジナルのネジをそのまま使ってフランジナット二個をツマミの替わりにねじ込みました。実際これでお湯を沸かしてフランジナット製のツマミが持てるかどうか試しました。

結果は超熱い!即却下! 次!


フランジナットは金属製で鍋の熱がモロに伝わって持てませんでした。と、ここまでは予想通り。お次はコンデジ用ハンドストラップ取り付け金具を、、と思いましたがこれを固定するナットがありません。近くのホームセンターに石橋1号ですっ飛んで行き必要なものを買ってきました。取り付け金具はステンレス製のナットで固定します。でもこのままでは蓋のツマミの役目を果たしません。これを使うのならハンドストラップを通すホールにキーリングかナイロンコードを編んだものを取り付けるなどしなければなりません。


そこでホームセンターで買ってきた鍋蓋用の小さな積層木材のツマミをストラップホールに3mmボルトとワッシャーで取り付けます。いい感じです。が、、持ってみるとバランスが悪い。そりゃそうですね。ツマミは蓋のセンターから偏心して取り付けられているので持つと当然アンバランスとなるのです。


それならノーマルにツマミだけを取り付けます。
当然ながらこれは別に何の問題もなく使えました。
お湯を沸かしてラーメン作っても熱くもならず持ち手としては小さいですが《使えます》。


これでパッキングも少しは楽になるでしょう。基本的にこの角さんを荷物としてパッキングする時は中に食材やバーナーなどを収納するのですがザック内でのスペースを考えると蓋は裏返して収納します。その時、大きなツマミが更に邪魔になるのです。ツマミを小さな物に替えることによって蓋を裏返した時のクッカー内の収納力は上がりました。蓋を凸の状態でザックなどへ収納する場合はツマミを更に低い物に替える方が良いでしょうね。
その時にはコンデジのストラップ取り付け金具を使いましょうかね。

以上
ponio でした。

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2017年02月17日

使ってる物と使わなくなった物

マイブームなんてもんじゃないけれどキャンプ道具なんかにもそんな波が繰り返しやってくる。今回は気分次第で使ったり使われなかったりする気の毒な道具たちの一部をご紹介。

さっそくいきまっせ〜〜!


最初はGSIカスケーディアンカップ〜。軽くて水にも浮くし(それがどうした!って感じやけどね)、割れたり欠けたりしないから良いんだけどガブ飲みサイズが敬遠されて今や遊びにくるチビ助専用となってた、、それも今やIKEAのキッズシリーズに取って代わられた。

お次は昨年春にチャドクガの毒毛に汚染されて熱湯洗浄の末に見事に縮んでサイズLがサイズSになってしまった
SWANYのワークグローブ。長年使ったけどこの一件で引退されました。ありがとーぅ!

キャンティーンカップとナルゲンオアシスボトルの名コンビ。オアシスの方は今も使われていますがキャンティーンカップの方は最近とんと使われなくなりましたなぁ。頑強で注ぎやすくて持ちやすいのにね、、、。このコンビとにかく重いのよ。

cascade cup はソロの時代の遺産だけどシェラカップやロッカーカップと共にこの手のモノは早い時期から使われなくなっていました。長年ベランダに放置されていた時期もありました。TOAKSのリッドが使えるので復活するかに思えましたがやはり使われることは殆どありませんね。

snowpeak ギガパワーストーブ《地》
何の故障もトラブルもなく購入から20年近く経ちます。
後付けのオートイグナイターも健全に機能しますし、温暖な季節や屋内では今でも十分な火力ですが、少し肌寒いくらいでもドロップダウンすることがありますね。パワーとスタミナ的に最も相性が良かったキャプテンスタッグのPXガス250もノーマルガスの価格で販売していたホームセンターが間違いに気がついて正価に戻してしまい以来買っておりません。老兵は死んでおりませんが白いプラケースに入れられたままです。

SEAGULL の美し〜ランチボックス。ホンマに美しいランチボックスですが弁当を目一杯に詰め込んでいくと超重い。直火もOKでお湯も沸かせる。一時はこれでリゾット作って食うのがブームだったが最近はまたラーメンが屋外での主食になっていたのでこのランチボックスに出番なく淋しい思いをさせております。

さて、今度は《使われている》方。WILDO のスポークは今や屋外での食事に欠かせない友となっています。ラーメンも少量のスープと一緒に口に運べる器用さです。ただし、ナイフ部分のギザギザは唇の端を傷つけることがわかり、買って早々にヤスリがけして落としてしまいました。自宅でもデイハイクでもキャンプでも使われているマイヒットカトラリーです。

OR(アウトドア・リサーチ)のオールウェザーグローブ。昨年、Trangiaバーナーの炎でトロけてしまった同じORのナイロングローブにかわってこの冬の仕事に、自転車移動に毎日毎日コキ使われてきました。防寒性は先のナイロングローブが上でしたが、このグローブは雨の日も水を吸ってグッショリとならず、滑らず丈夫でワークグローブとしても使える頼もしさがある。マイヒットグローブです。

GSI カフェプレスは本来コーヒー用ですが紅茶や日本茶の茶葉も濾せるので重宝しています。勿論、私もコーヒーを淹れるために買った(ワゴンセール!)のですが実は毎朝お茶を淹れるのに使われています。毎朝毎朝、仏様のお茶をこれで抽出しています。本当にムラのない綺麗なお茶の色が出ます。コーヒーの豆カスと違って匂いもつかず手入れも楽です。これが来てから急須を使うことがなくなりました。趣きがないって?まぁいいでしょ。

再び《使われなくなった》組。WENGER のポケットナイフ。一時はEDCブレードとしてマルチツールとして仕事に日常にかなり使われていました。今は別の WENGERナイフに後を譲って何処かでひっそりと隠れ住んでいます。

これもとんと使われなくなったブレード。品質は素晴らしく今もちゃんと切れる状態を保っていますが、サイズ的にやや大き過ぎること(後に発売されたRAT-2の方がサイズ的には使い良いかな)、ハンドルを握った時にブレードのカッティングエッジ後端がやや遠く私的にはちょっと使い難いナイフなのです。今は非常持ち出し品レベル3の荷物の中にある放り込まれています。

snowpeak ケトル no.1
世間的にはベストセラーでロングセラーなケトル兼クッカーです。買って直ぐに蓋をzebraのビリーポットの蓋と入れ替え収納上手なケトルクッカーとして使われてきましたが肝心の注ぎが下手でして湯こぼれが酷く注ぎ口を曲げ直して使っていました。これはたまたま当たった個体差だと結論。ただ、やはり大は小を兼ねると言うことで、、満水容量が1Lを超えるものが主流となってしまいコレの出番が自然と減りました。

こちらは《使われている》組。同じ snowpeak のアルミクッカー、トレック1400です。これは寒い時期には毎朝の湯沸かしに使われます。1400は満水時で実質的な容量は1200mlくらいかな。これが自宅で使われ続けている古い魔法瓶を満水にでき、残りのお湯でお茶を一杯淹れられる、そんな丁度良い容量が毎日使われる理由です。更に蓋が400mlほど(データ的には500ml)の容量なのでこれを使えば水を継ぎ足す時などはいちいちクッカー本体を水道まで持っていかなくても事足ります。シンプルで長く使えるクッカーとはこういうのなんです。

バウルーはホットサンド焼くだけが能ではありません。
ホットケーキも餅もとても上手にふっくらと焼き上げてくれます。バゲットもそのままオーブントースターで焼くとカリカリになり過ぎますがバターを塗ってバウルーで焼くとホンマにフンワリ焼き上げてくれます。卵だって焼けるんですから。圧力鍋とは違い完全な密閉状態ではありませんが水分を保ったまま焼き上げてくれるのでふんわりフワフワです。これもマイヒット。

OPNE COUNTRY の5カップ パーコレーター。
これを使い毎回同じように旨いコーヒーを淹れるのはなかなか難しい。豆の挽き方と量、水の量、火に掛かる時間、などを常に一定にしなければならないからです。細かく挽くとコクは出るけど豆カス(クレッセントと言えばそうなのだが)がかなり出るし、粗く挽くと時間によっては薄くなる。火にかける時間を長くとり過ぎると香りや風味もぶっ飛んでしまう。だからたまに旨いコーヒーが淹れられた時は本当に嬉しい。でもね、後片付けの面倒さもあってパーコレーターの使用頻度は高くありません。ただ時々ふとこれで淹れたくなるだけです。

A&Fチタンカップ。《使われてる》組です。金気臭いだの、すぐに冷めるだの言いながらも長年使われ続けてる愛着あるカップ。

こちらも《使われてる》組の方。Coleman のステンレスマグ。ありふれていて特別なんてことないんだけど変色も曇りもなくいつも熱々。ハンドルも畳めないしスタッキングも出来ないけれど、こういうシンプルなものは長く使える道具の典型。

GSIエナメルクックウエア。《使われてる》組の中でもトレック1400と並び毎日使われてる一軍レギュラー。容量2L実質1.8Lで琺瑯ならではの手入れのしやすさを買われ、ストーブトップの湯沸かしから麺類の茹でや調理まで働きづめの毎日です。蓋は家にあったピッタリサイズのモノ。

ユニフレームのご飯クッカー(山シリーズ)。キャンプでの炊飯を目的に買ったけど実際には煮物、汁物の調理に使われている。特にラーメン、うどんなどは具材たっぷりでも余裕。アルミ製鍋としてはかなり厚みがあって頑強。ご飯を炊いた時は早めに移し替えないと余熱でこびり着くので要注意。これも自宅での《使われてる》組。

復活組の一人。お馴染み SOLO STOVE。
炉の底に張られていたニクロムワイヤーの基部が焼き切れてしまったので最近改造手術を受けた。100均の味噌漉しオタマに穴を開けたものを炉の底に設置。その後の燃焼も殆ど変わりなく暫くはこれで現役続行となりました。まだまだ《使われてる》組です。

ガソリンバーナーの雄、MSRのWhisper Lite International。ホワイトガソリンからケロシン(灯油)仕様にジェットを組み替えてから半年ほどのテスト期間をクリア。現在、本格稼働中。本当はホワイトガソリンの方が楽なんだけどね。

PRIMUS IP-2243は最古参のバーナー。初代から二代目になって既に25年ほど経つかな。数年前に詰まって出が悪かったジェットをクリーニングしてからは高火力も復活。性能的にはバリバリにバリが付くほど頼れる存在だがやはりサイズ的に大きく重いのでクッカーとの組み合わせも必然的に大きくなってしまいます。我が定番ストーブも静かな日々を過ごしております。

ストーブついでに、、ドラゴンフライストーブ。
これは《使っていない》組。火力も強いが燃焼音もかなりヤカマシー!のは18年前から知っている。パッと開く五徳の安定感やプレヒートの簡単さ火力調整の素晴らしさもわかっています。ただ、デカいんです。収納サイズがちょっとばかりデカ過ぎて持ち出すことを躊躇うのです。

デカイ!と言えばコレで〜す。KELLY KETTLE。
これは据え置いて使うものだから今の日常では使えませんし、キャンプなどではゆったり燃やしたいのに直ぐにお湯が沸くから忙しいのです。贅沢な悩みです、ホントに。だってこれはガー!と燃やしてグワー!とお湯を沸かすための道具なのですからね。わかってます、私がそういう生活をすればよいのです。

こちらは《使ってる》組に所属のEsbit 585改造バーナーキット。これは使っとります!使い方は軍用のTrangiaバーナーに乗っけるだけです。湯沸かしならコレが一番簡単です。収納サイズも意外と小さくまとまりますし思い切った改造をやって良かった例です。

CASIO GA-150-1AJF
《使わなくては!》組。個人的にはプレゼントで頂いた物を除けば20年振りの電池式腕時計。電池式→正確→電池式→電池切れる→《使わなくなる》という決まり事の様な末路が嫌になって20代の頃からずっと手巻きや自動巻の機械式腕時計しか使わなかったアタシが何を血迷ったかリセール品を買ってしまいました。SEIKOのブラックモンスターが7年目で故障したタイミングでした。夜間はライトをオンにしても殆ど視認できないし、反転液晶もまた役に立たないことが多いのに今は日々仕事に着けて行ってます。電池ある限り《使わねば!》的精神。しかし、ある朝腕にはめようとフト見ると時計が停まっていることに気がつくのでしょうね。その時、自分はどないするのか?

先に出た WENGER のポケットナイフに代わり日々仕事に日常に使われている《今WENGER》。ナイフ、ハサミ、ドライバー、リーマー、仕事で使うツールは揃っている。そして携行用のフックが《使える》道具として決定的な役割をしています。

これも何度もブログアップされてきた WENGER Soldier。これは中古品で手に入れましたが前の持ち主の方が完璧な片刃に研ぎ直されておりまして木材に対する食い込みは凄いものがあります。今はエッジの耐久性を持たせるために《10:0》の片刃を《8:2》に研ぎ直して使っています。質実剛健で必要にして十分な機能と信頼性は《使われる》道具の典型です。

KEEN のコルティナミッド。《使われてまっせ〜》的な休日靴の代表。休日靴?そう、この手のブーツレースは
若い頃から慣れたものだけど、仕事で脱いだり履いたりする回数が多い時は必然的に履いて行きません。でも休日はこれを履くことが多いですね。ソールは大丈夫か?と思うほど薄く、ビブラムに慣れた軟弱な足には不安でしたが履いてみると快適快適!それほど重い荷物を背負わなければ長い距離も楽チンです。

Kinco のワークグローブ。先述した SWANYのグローブがドクガの毛に汚染され熱湯で毒毛のタンパク質を破壊した際に縮んで使えなくなりましたので、これはそのアトガマ。フィット感はSWANYには敵いませんが仕事にキャンプに《使いまくり》。

CASIO PRG-270-1jf プロトレック。これもリセール品。
電池式やけどソーラー。前述のG-SHOCKとは対照的な視認性の良さとソーラー蓄電駆動に賭けてみました。高度計もその時その時でマメにリセットや修正してやれば正確ですし、外してぶら下げておけば温度もちゃんと測れる。気圧計が急な雨を知らせてくれたこともあった。
これは休日時計として《使わられてる》道具です。

キャプテンスタッグの角型ステンレスクッカー。
これ《使われていない》組に落第。現在、活路を見出さんと使活中(使われる為の活動)ス。なんで《使われなくなった》のか?それは多分、蓋のチョボ(ツマミ)。デカイんですわ、これが。勿論わかって買ったのですが、、パッキングがね、、そこで自宅での使用に活路を求めましたがステンレス製の鍋はお湯を沸かせばチュンチュンジュッジュッ!とお湯を弾くし家庭用のガスコンロではハンドルが熱くなりすぎるので撤退しました。今後は《使ってる》組に進級すべく蓋のツマミを適当なものに改造することを思案中です。出来は素晴らしいのですが、、チョボが、、、。待っとれよ〜〜。

Coleman 442 フェザーストーブは通称【火吹きダルマ】。ゴロンとしていて大きく重い。畳めるのは脚だけ。
一昔前は米軍のG Iストーブやピーク1など現代の小型軽量なガスキャニスターストーブとは比べ物にならない大きさと重さをザックに詰めて歩いた強者の時代もあった様ですが、チタンだ、軽量コンパクトだとそれが普通になった時代にバックパッカーだった自分にはやはり重いっス。でも!これは《使われてる》組。その暗闇でも手探りでポンピングから点火とプレヒート、本燃焼へと移行できる点火プロセスの簡便さは今だこれに勝るもの無し!取り出して1分以内に青い炎が湯を沸かし出す。ココです《使われる》最大の理由。
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Posted by ponio at 22:39Comments(0)道具たち

2017年02月15日

モンベル・ムーンライト1型



今回は季節外れの虫干し特番。
出演は1990年代の終わりに大阪で買ったモンベルさんの《月下設営可能独居天幕》ムーンライト1型です。私のは今はもうカタログ落ちしてるメッシュインナーのタイプです。


透け透け〜恥かしい〜!(誰やねん!)
メッシュといっても本体のウォール部分のみ。ボトムはちゃんと普通の防水仕様(ボトムまでメッシュでどないしまんねん?!)


1998年頃 赤穂の海岸でソロキャンプ。海に照り輝く月光の白い道がホンマに綺麗な夜でした。

これも赤穂でのソロキャンプ。パタゴニアのオーガニックコットン製アロ〜〜ハが写ってる。この時のストーブは忘れもしないボルドーバーナー。そして石を組んでファイアーピットを作り米軍放出の固形燃料20個余りで湯を沸かしてラーメン作って食ったなぁ〜。


あれから20年近く経ちますノォ。福岡に移住した後も今度は奥さんと二人押し寿司状態でムーンライト INしてました。朝起きたら二人ともムーンライトの形に、、それは嘘だけど寝返りも打てずそれはそれはムギュッとした夜を過ごしました。


中はボトムもサラサラ〜〜。まだまだ使えまっせ〜。

フロントパネル外側のウレタンが少〜しベトついてる。
ただまだあのウンコ臭がしないので使えそうです。

ポールもピッカピカだぜ、おっかさん!中のコードはちぃとユルユルだけどね。まあこれも十分使えます。

問題は、、フライシートです。これがちょっとベトベトなんです。10年ほど前に住んでいた漁港近くのアパートがそれは酷い結露でして、あそこで保管していた同じモンベルのステラリッジ1型(旧型)やウレタンコートのザックやバッグ類はことごとく加水分解して、その後殆どが廃棄となりました。その中にあって同じ保管状況だったにもかかわらずこのムーンライトだけは加水分解を免れておりました。加水分解でベトベトのウンコ臭漂う有様となったステラリッジテントはこのムーンライトより数年遅く買ったものでしたが、、開聞岳の麓で雨の夜に水没したのを最後に天に召されました。


私はこのテントでは結露を経験していません。
しかし、2000年9月の《しまなみ海道》では明け方近くのテント内で持って行った湿度計の針が100%を指していたのを今でも覚えています。実はその夜は天候の崩れもなく綺麗な星空でしたのでフライシートはかけずにメッシュのインナーのままで過ごしました。そして見事に夜露朝露でツユダクな夜明けとなってしまったわけです。でもね、フライシート無しで眠った夜、ふと目がさめると白いメッシュ越しに真っ白なお月さまが冴えわたっていましたっけ。


2000年《しまなみ海道》写真のコピーより。これは生口島のサンセットビーチ。白いボードウォークにペグ無しで設営して張り綱をボードウォークの柱に結びつけて完了。海と砂浜を前にして一段高い位置に自分ひとり。なんと贅沢な時間よのぉ〜と夜を迎えて、、、そして訪れたガサゴソという何かが這いずり回る音、音、音、、。
何かと思いマグライトを点けてみると〜、、出たー!!
『ゴキブリー!!ゴキゴキー!』と飛び起きた。ライトで照らした途端に四方八方で蠢き回るゴキゴキ、、大きいのやら小さいの黒いのやら赤いの茶色いの、、オエ!
今思い出しても鳥肌実!

わたし、思わずテントを飛び出し張り綱をナイフで切ってザックなど荷物が入ったままの重いムーンライトを引きずって砂浜へと逃げのびました。

その夜、同じ大阪から自転車でやって来たと言う一人の少年と砂浜で晩飯食って(というか食わせてやった)、眠りに落ちた夜半過ぎに突如ラジオから《広島方面で激しい雷雨》との情報が流れてきます。そしてラジオがバヂバヂと鳴り始め夜目にも黒い雲が海の向こうから近づいてくるのがわかりました。先ず風が吹き出しました。そして稲光さらに雷鳴、これはヤバイぜ!とばかりにテントにコッヘルやらストーブなどを放り込みビーチハウス脇のトイレに逃げ込みました。それから約一時間余りの間、海水浴客の更衣室を兼ねた簀の子張りのトイレで少年と二人耳をふさぎ身をかがめて嵐が通り過ぎるのを待ちました。今で言うゲリラ豪雨です。凄まじい雷鳴と風雨、二本の雷光が天に向かって昇っていくと間もなく嵐はパタリと止み静寂と波音が残りました。砂浜に戻るとテントがありません。少年の自転車は倒れ寝袋はグショグショ、、、テントは、、あった!暗い砂浜のギリギリ波打ち際に突き刺さる様に逆立ちしていました。テントの中に置きっ放しにしたザックや道具が重石となって吹き飛ばされるのを防いでくれた様です。ただし、ゴキブリから逃れ砂浜にテントを置いただけ何も固定していなかった為、激しい風に煽られ転がっていった様です。

2000年9月 《しまなみ海道・大三島》多々羅大橋下の野営場にて雨に遭う。生口島ではフライシートごと吹き飛ばされたムーンライトでしたが、多々羅大橋では静かな夜雨でしたのでメッシュインナーでもまったく浸水なしでした。

2000年9月《しまなみ海道・見近島》にて。
入り江に面した藤棚の下にムーンライトを張る。
夜、またもや虫の襲来。今度はフナムシの大群、ゾロゾロぞろぞろ、メッシュ越しに這い回る大きなフナムシの影と何とも言えないフナムシ臭に悩まされ疲労困ぱいの夜明けを迎えて速攻脱出!そして今も消えないフナムシ汁の跡が白いメッシュウォールに残っています。

やれやれ、、とフナムシが去った後で撤収を始める。


そんなスッタモンダの旅の数々をこのテントと過ごしてきました。今こうして組み立て砂浜に置いてるだけで旅心がムズムズと湧き上がってくるのを感じます。もしまたザックひとつで長旅に出るとしたら、、私はまたこのテントを持って行くのだろうか。今ならもっと軽くて居住空間も十分なテントが色々と選べるだろう。でもね、やっぱりこのテントの設営の簡便さは大きな魅力なのだ。海外のブランドテントもカッコいいけど日本生まれの日本向けテントはやはり使い易いよね。ザックは時代に逆行して KELTY のエクスターナルフレームパックと決めている。その話はまた次の機会にね。

では今日はこれにて。

ponioでした。


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Posted by ponio at 21:17Comments(0)camp道具たち

2017年02月14日

OP. SVEA 123R



ponioでございます。

今回もお好きな方だけ(、、とiPhone 7に打ち込むと、、“お魚方だけ”と出てくる、、iPhone アホになったなぁ、、)どうぞ。


今回は ガソリンストーブの古参兵、オプティマス SVEA
123R の燃焼画像のアップアップです。さら〜と流してどうぞ〜。今回は台所での使用だったのでプレヒート(予熱作業)はアルコール燃料を使います。スポイト約2搾り分。


プレヒートが終わってもそれが十分かどうかはバルブを開いてみなければわからない。今回はやや不十分でバルブを開放していくと赤火と青火が交互に繰り返されます。それが動き出した巨神兵の心臓の鼓動のように聞こえます。ドクンドクン、、とね。


更に燃焼が進むと今度はパッとシャガの花の様な赤火がほとばしり次の瞬間に美しい青火がツボミの様に現れます。鼓動は先ほどより速くなってきます。






次第に鼓動は走り出した機関車のような音に変わってきます。シュシュ!シュシュ!とね。








シュシュボッボ!と次第にスピードを上げる機関車の様。でも、まだまだ本格的な燃焼ではありません。暖機運転の状態です。気温が高い季節や環境では比較的早くこの暖機運転が終わって本格的な燃焼に移行します。上の連続写真では最後の一枚に注目です。フレーム(炎)はきれいな青火ですがバーナーヘッドの右に偏っています。これがこの SVEA の癖、つまり個体差です。これは新品の頃からの癖です。





さあ、いよいよ本格燃焼の始まりです。バルブを左にゆっくりと回して開放、断続的だった燃焼音はいつの間にか コォー!!と力強く滑らかな音に変わっています。最大火力はバルブを左に回し切る少し手前で、鋭い炎の花びらが開きます。この時点では炎の偏りは殆どわかりません。ただ、炎の先端部分が限りなく白に近い色となっています。最後の一枚はバルブを左に回し切る一歩手前でニップルと呼ばれる燃料噴き出し口の内部にクリーニングニードルが進入を始めた状態です。ニップルの小さな穴が塞がれつつあるので炎は絞られていきます。

それでは消火の為にバルブを再度右に回していきましょう。火力は再び最大となりますが更にバルブを右に回すと次第に弱火となり、やがて赤火のツボミができて、最後はロウソクの炎のような小さな火がニップルに灯ります。バルブを右に回し切ると燃料の流量はゼロに。この時点でニップル上に小さな残り火があるようならグラファイトパッキンの消耗かもしれません。私の SVEA 123Rは購入から使い続けて10年目にして一度だけ残り火トラブルでグラファイトパッキンの交換をしました。残り火が出るということは逆にタンク内の圧力が上がった時(プレヒートなどで)にバルブの操作とは関係なく燃料が浸み出して、それがプレヒート中なら浸み出した燃料に引火することに。私の場合はバックパッキングの準備中に気づき急遽 MSRのドラゴンフライに変更、、これが現地でポンプユニットの破損による燃料漏れ、、やれやれな旅でありました。







最後の一枚。火が消えてもバーナープレート(フレームスプレッダー)は焼けて赤化しております。この時本体は触れられないほど熱くなっており、再度バルブを開いて点火すれば即美しい青火の本燃焼となります。

これを買ったのは1990年代の終わり頃。途中10年目にたった一度のパッキン交換でいまだ現役でバリバリの燃えっぷり。炎が右に偏るのも昔から、今更パーツを交換して直そうとも思わない。これ一台しか持っていないから他の個体と比べようがない。プレヒートは面倒臭い?
そう感じる時もあるけど独りなら全然気にならないアル。寒い季節に誰かと一緒ならプレヒートや暖機運転にかかる時間を減らすのに Coleman 442やガスのシングルバーナーを使うだろう。でも、ひとりの時にはこの小さな燃焼機器の古式ゆかしい扱いを楽しむのさ。

ponioでした。
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2017年02月12日

ARCTERYXののカチカチパック



ボンヤリとした日曜の午後、西に傾き出した陽が差し込んでる。テレビで珍しく古い映画をやっている。1969年のフランス映画だ。
主演はジャンギャバン、アランドロン、リノヴァンチュラなどの豪華顔ぶれでおまけに日本語吹き替えだ。声優さんたちの声も皆若い!ボンヤリとした日曜の午後はこんな映画を見るに限る。この時代、アランドロンは最後は撃たれてお終い。それもお決まりだ。

さて今回は8年も前に買った ARCTERYX のバックパックをご紹介。いまさら目新しい内容でもないのでボンヤリとめくってちょうだい。



ARCTERYX blade 24






収納は全てファスナーによる開閉でポケット、スリットは全部で6ヶ所。トップには傷防止の内張りが施されたポケット、そのすぐ下には少し深めのポケット。背面の右下部には薄手の物なら入るパスポートポケット、そして右サイドには二つの大きなスリット、前面にはペンや小物を収納できるオーガナイザー的スリットが設けられている。


この ARCTERYX blade 24は登山向けのザックではない。
グレゴリーやケルティのデイパックのような手軽になんでも放り込める物でもない。これはシティーユースのビジネスパックだ。背面に近い大きなスリットはラップトップPCを収納でき、その為の保護パッドも付いている。
ウォーターボトルやストーブ、クッカーなどを持ち歩くためのザックとはかなり違う。素材は420デニールナイロンで素晴らしく、パックそのものもカチッとした張りがあって型崩れしない。購入から8年経つがいまだクタッとなっていない。このカチッと感こそこのパックの特徴なのだ。



このパックのカチッと感はここにも感じることができる。背面のパッドとショルダーストラップ及びそのパッドだ。これがなかなかのカチッと感。背面パッドも汗や蒸れ対策のデザイン(あれも効果あるのかわからないが)ではない。ショルダーストラップの上部の付け根は左右が殆どくっついたデザインでこれが背負った時にカチッと感を助長する。ショルダーパッドもまたカチカチだ。
これら背負い心地に直結する個所がどれもカチッとしているため背負った感じもまたカチカチだ。

これを買ったのは今の仕事を立ち上げて間もない頃で、持ち歩く道具なども多くなかった。あの頃はこれでいけてたのだ。しかし、それでもこのパックを背負うと必ず肩と首がカチカチになった。勿論、今でも時折これを背負って仕事に行くがやはり帰宅すると首肩がカチカチに凝っている。私はラップトップなどは持ち歩かない。これにPCを収納して仕事に行くなど考えたくない。それくらいカチカチの背負い心地なのである。カチカチ。

このショルダーストラップの付け根がネック。まさしくネックを左右から挟み込む。今時の若者の様に腰のあたりまでズンダれて背負えば問題ないだろうが、、、やりたくない。普通に背負えば首の両側が圧迫される。特に移動の殆どを自転車でする私の場合、ハンドルを握ろうと前傾すると自然にこのストラップとカチカチのパッドが首を圧迫、体を起こせば今度は肩をカチカチ圧迫。むむ〜こりゃ相当のカチカチ野郎だ。



手提げハンドルは二ヶ所。上と右サイドに一つずつ。
このパックは全体的にカチッとした張りがあり、容量的にもデザイン的にも大きくは膨らまない。だからこのハンドルを使って手にぶら下げても中身のズレ重なりが少なくパックの形状が変わらない。

実は今よりもっと若かった頃からこんなカチッとしたザックが欲しかった。20代の頃にはザック全体がFRPのような素材で作られていて、それをチタン製のフレームに取り付けて運ぶ、そんなシステムのザックを考えたこともあった。ザックのフィット感を崩さないように休憩時はフレームとの接続を外して樹脂製のパック部分だけを下ろす仕組みを考えてた、、、ボンヤリとね。


ケルティや米軍のアリスパックみたいなエクスターナルフレームのパック部分が型崩れしないツルツルの樹脂でできてる、、そんな感じの。

それから間もなくボブルビーのリュックが世に出て、、うーん、、惜しい!でも近い近いでも惜しい!ってなったの覚えてる。今ではボブルビーも名前とプロダクツが別会社に移譲されたとか。

とにかく当時は形の崩れないハードまたはセミハードなザックが欲しかったのです。そしてそれから月日が経ちまして私が新天地で手に入れたのがこの ARCTERYX の
シティーユースパックだったのです。


*グレゴリー デイ& ハーフ 背負い心地は抜群。

でもね、この ARCTERYX のパックは残念ながら背負い心地は登山用やバックパッキング用、同じシティーユースでも有名ブランドのデイパックからは程遠く、必ずしも快適とは言えません。背負えば体カチカチで、走ればユサユサ暴れるし、ただ、書類などの整理収納には便利ですので病院や施設関係のお仕事の時にはこれを背負っていくのです。そしてロボコップみたいなカチカチな動きで帰宅します。

派手すぎず主張しすぎずそれでいてカッコいい。
そこがいまだ手放さずに使い続けている理由ですかね。
今日は日曜日、仕事が一件あって、高齢者の退院介助(支払いや薬の受け取り、担当医とのやりとり、今後の注意点、入所施設への連絡と車の手配、送迎など)をこのパック背負ってやってきました。クリアファイルに入れられた病院からの手紙や処方箋、当分の薬、保険証や手帳、お金などを入れたクリアポケットはラップトップ用のスリットに入れてきました。こんな使い方が出来るのも、体がカチカチになるのも全てはこのパック特有のカチッと感のおかげです。

あぁカチカチ、カッコいいのに惜しいね〜〜。

ponioでした。  


2017年02月10日

道具の日常 2017.如月

今回は単なる《道具の日常》


Trangia の黒釜(ツンドラ2)を何年か振りに引っ張り出した石油ストーブに乗せる。夕食の鍋の仕込みを終えてあとはストーブにおまかせ。この黒釜にはちいさなエクボ(凹み)がある。そこがカワイイ。


奥さんが突然スキレットでパンを焼いた。


朝一番、ナイフケースの濃〜いオイルの香りを肺いっぱいに吸い込む。フェチか⁈ 小さな頃からグローブの匂いが好きやった〜。やっぱりフェチや!


久し振りにアルコール燃料を仕入れたのでコーシーでも淹れまひょ。単純明快、アルコールバーナーはいつ使っても同じ結果を約束してくれる。


とある昼どきの屋外ランチ。と言ってもカップヌードルだけど。TOAKSのチタンリッドはペロンとめくれ上がるカップの蓋を押さえる役目もあるのです。底に付いてるシール使えばいいじゃん!って?へいへい。



これもとある昼時の風景。98円で買ったバゲットをスイスアーミーナイフで切り分ける。それに128円で買ったメープル風味のジャムを塗りたくってムシャムシャ食う。



このスパイダルコのナイフには右のエッジに黒いホクロがある。研いでもなくならないので鋼材に含まれた不純物かな?マリリンモンローみたいでセクシーかな?


タスマニアンタイガーというブランドのベルトは伸び〜る伸び〜るストレッチベルト。確かに良く伸び〜る。バックルは単純な引っ掛けタイプ。最初に長さ調整して使うんだけどウエストサイズよりかなり短めにしておかないとしゃがんだり屈んだりした時にベルトが踏ん張ってくれません。伸びるのは楽なんだけどね。


これまたとある日の昼時、、仕事の合間にまたまたカップ物。鴨だし蕎麦の蓋押さえに使っているのはGSIクッカーに付属しているマグボウル。


何を飲んでも金気臭い20年物のチタンカップ。手前にあるのは旨旨の黒糖イナリ。旨〜!


ある休日の海岸で見つけた5メートルほどの流木を手持ちのマルチツールで切り分けワークナイフで樹皮を剥く。まだ流されて間もないせいか樹皮が殆ど残っていた。
Kershaw のBLUR は日常使いのワークナイフ。木を削るのは他のナイフの仕事だけど良く切れるので使ってみる。スパスパとスムースな切れ味だったけど家に戻って確かめたら3箇所ほど小さなチップ(欠け)があった。




焚き火台やウッドストーブの台頭ですっかり出番が減ったガソリンストーブたち。MSR のストーブにはシェーカーと呼ばれるクリーニング機構が付いているのでチャカチャカと振ってやるだけでいいのだけれど、時には燃料ラインやポンプを分解してクリーニングしたりパッキン類のチェックしたり、使わなくても使えるようにはしておく。 SVEA 123R はグラファイトパッキンを交換して9年が経つのでこれも燃料漏れがないかチェック。新品の時から炎の偏りや青火の先の小さな赤火も気にはなってたけどトラブルはたった一度、9年前のグラファイトパッキンの消耗による残り火だけ。ほんまに息の長いストーブです。


仕事ではスイスアーミーナイフがワークナイフとして頑張ってる。休日の山河森歩きでは北欧系がソツなくこなしてくれる。自宅ではこの二本がシノギを削ってる。Kershaw のBLUR はホローグラインドで超がつくほど鋭利な刃付け、Spyderco のTenacious はフラットなシェイプで万能のスライサー。どちらも使いやすくて良く切れるんだけど互いに先を争うのよね〜〜って俺が優柔不断の八方美人なだけか。  続きを読む


Posted by ponio at 20:42Comments(0)道具たち日常使い

2017年02月09日

ご質問にお答えして

《おっと》様

ご質問の件、やってみました。




こんな感じです。
私のケトルは Trangia のストームクッカー(サイズ25)にフィットするように注ぎ口の先端部を削っています。オリジナルのままでは注ぎ方がストアウェイポットの縁に引っかかり写真の状態までは入らないと思います。ただ、いかんせん高さが足りません。ケトルの蓋をひっくり返して凹にしても無理でした。ストアウェイポットの内側底面が僅かですが凸型になっているのもあるでしょう。


私はストアウェイポットで一式組む場合は写真にある様に調理用と湯沸かし用に手持ちのクッカーを組み合わせています。上の写真はTrangia 289のソースパンとフライパン、又はハンドル折りたたみ式のシェラカップを組み合わせています。Trangia の600mlケトルなら入るかもしれませんが、、、残念ながら持っていません。やっぱり調理用と湯沸かしは分けたいですよね。


GSIの一回り小さなケトル(ハルライトケトル)も試しましたが同じでした。

ponio  


2017年02月07日

Case ナイフ Copper Lock ss



このところ《キレモノ》続きでしたが今回はナント!
また《キレモノ》です。例によって《キレモノ》の霊に取り憑かれたお好きな方だけチラ見していってちょーよ。


今回の《キレモノ》は前にもチラホラと登場してきた 米国は CASE 社のフォールディングナイフ、CASEのナイフの型番とも言うべき《ナイフパターン》では549Lで名称は Copper Lock です。

他のCASEナイフ同様ブレードの付け根に製造年と型番、鋼材などを示すタングスタンプと呼ばれる刻印が入っています。ここに打たれた型番は61549L。これを分解すると、、6はハンドル素材でこれはチェスナットボーンと呼ばれる牛の骨に刻みを入れて着色したものです。次の1はブレードの枚数つまり1枚刃で、残る549Lは Copper Lockというナイフパターンを表します。


*CASE社タングスタンプ表より*
このCopper Lockは上のタングスタンプに属すると思われますが私の物は《USA》の刻印の両サイドにドットが打たれており、ちょっと違うんやないかとさらに調べると
同じ時期1997〜1999の間に別のタングスタンプがあることが分かりました。でも今度は《Case》の文字デザインが違っておりドットの位置だけが合ってます。つまり、、作ってる側もわかってない!or たまたまそんなスタンプになってしまったとか。いずれにせよこのCopper Lockは1990年代後半の製造、今が2017年だから20年ほど前の物ということになります。


前にも書きましたがこの Copper Lock はリセール品、つまり個人かディーラーが所有していた物を業者が仕入れて再販売にかけたものです。これを買ったのは8年前ですが価格は当時で¥4.000ほど。安〜⁉︎

箱なし説明書や保証書もなしでしたが届いた品物は意外にも珍品だったのです。Case社のナイフはそれまでにも持っておりましたが正直いって品質は良いとは言えず、それは主に90年代の物でありました。それが同じ90年代の物でありながらこの Caseナイフは実に良く出来ており、ブレードの開閉やロックのかかり具合、パーツの仕上げまで通常の Caseナイフとは明らかに違う仕上がり具合です。


ブレードを起こしてハンドルの中を覗くと真ん中の
Copper Lockだけが光っています。左は2010年代に製造された Case Trapper 、右は同じ2010年代の Case Sowbelly です。特に左のTrapper は《ポケットウォーン》と呼ばれるシリーズで通常のモデルを手仕上げで角やエッジを丸めて磨き上げ、ポケットから長年に渡って出し入れされ使い込まれてすり減った感じを美しく再現しているモデルです。その《ポケットウォーン》ですらハンドルの内部は全く研磨されておらず真っ黒です。それが真ん中の Copper Lockでは研磨仕上げが施されております。


実際にブレードを起こしてみると非常に滑らかでガタがなく、ロックもカチ!でもパチ!でもない柔らかな金属音がします。それは同時代でも職人の秀れた技術が活かされていた日本の高価なマスプロナイフ MOKIのナイフよりも間違いなく人の手が入ったとわかる質感です。
MOKI のナイフが秀れた技術と均一性をウリにしているとしたら、この Copper Lockは限りなく人の手で磨かれ仕上げられた良い意味での個体差とでも言うべきでしょうか。とにかく触れてブレードを起こして畳むと未だ見たことのないCase社の工場で働く職人さん(勝手な想像でハイジのおじいさんみたいな)の仕事ぶりが伝わってくるのです。


この三本は全て タングスタンプに《SS》が刻印されています。つまりステンレススチール鋼です。これをCaseでは Case Tru-Sharp™ Stainless Steel (SS) と呼んでいます。切れ味は刃付けによりますからちゃんと研いでやれば良く切れます。刃持ちは特別良くはありませんがタッチアップも楽ですので使いやすい鋼材と硬度だと思います。

Copper Lock のブレードはこれの変形タイプになりますね。

三本の中ではブレードが一枚のCopper Lockが一番スリムですがハンドル材で程よく厚みを持たせています。

Sowbelly との比較。両方とも携行する時には革のシースを使いますが三枚刃の Sowbelly とは厚みが違うため共用は出来ません。作業用のワークナイフとしてみると
Sowbelly の方が使いやすいと感じます。Copper Lockは
日常のそれほどヘビーではない作業に花を添えてくれる《キレモノ》として以前は仕事にも今は自宅のすぐに手の届くところに置いて使っています。


こうしてデザイン的に気に入った道具は性能や機能一点張りの物より手元に置いて使いたくなるものです。買ってから8年が経ちますが今も《お気に入り》の一本です。

それではまたのお越しを。

ponioでした。


仕事やキャンプでの現役を退いた後、彼(COPPER LOCK)はわが家のキッチンの棚に置かれて週に一度仕入れてくる安いコーヒー豆の封を切る役職に就いております。今もスンバラスィー切れ味でやんす。



  


Posted by ponio at 16:50Comments(4)刃物道具たち日常使い

2017年02月03日

ENZO のナイフ


ENZO TRAPPER 95
Made in Finland
鋼材 N690Co


ENZO はフィンランドの刃物メーカーBRISAが設立したブランドです。


ブレード鋼材はN690Co。オーストリアBohler社のステンレス鋼です。

このTrapperには他にもO1スチールやD2、M2などの鋼材バージョンがある。鋼材による差は実際には使う人の感覚によるところが大きい。実は私は元々O1スチールのモデルをオーダーしていましたが向こうのミスでN690Coのモデルが送られてきました。N690Co?使ったことないね〜。
鋼材の組成は、、

C 1.07 Co 1.5 Cr 17 Mn 0.4 Mo 1.1 Ni- P - Si 0.4 S - W - V 0.1

ふむふむ、、なるほどなるほど、、
こんなん見てもピンときませワン!


O1スチールのモデルをオーダーしたのに間違って送られてきたこのN690Coモデル。海外の購入先と何度かやりとりをして、あれこれ考えた末に結局こちらの鋼材に変更。使えばわかるさ!的決断。


バーチ製ハンドルと鋼材の間には赤いライナー。天然素材のハンドルは割れる可能性あり。特にバトニングする時などはハンドル側は叩かないようにしないとね。


シーズは革製。シンプルで美しくタイト。


この可動式のベルトループがポイント。腰につけて椅子などに腰掛けた時に自在に動くので邪魔にはならない。抜く時、差し込む時にもウエストラインより下になるので楽チンさ。



自分はこのナイフで何をしたかったのか。
ブッシュクラフト?違うとは言い切れないけれどそこまで夢中ではないし、、サバイバル? なおのこと考えられない。じゃあ〜何?


落ち枝や流木を削り何かを作ったり少しの加工を加えて焚付けにしたり、キャンプではそのまま調理に使ったり、そんなことを考えた。でもそれならMORAやQueenのナイフだって同じことをやってきたのだし今さらこのナイフを買う意味はあるのか?とも自問した。
ただ一つ、ナイフという道具としての線の太さがそれらとは違うと感じている。私が使ってきたMORAのナイフは軽量で携行にもなんら負担にならず素晴らしく良く切れて扱い易い。ただ、その線の細さが時に不安に感じられることもあり(本当は十分なのだが)、Queen や ONTARIOなどのアメリカンナイフを使う機会も多かった。そこに ENZOのナイフが食い込んだのかな。


木材に対するタッチ《切れ味)は流石の北欧系。削り面が実に美しくツヤツヤしてる。


細かく見れば荒削りなところもあるけれどこうして見ると本当に美しいブレードだ。


N690Coはステンレス鋼の一種なので基本的には(錆びないわけではないが)炭素鋼よりも錆や腐食には強い。だから余計なコーティングもされていない。普段の生活や年に数度のキャンプでは光を反射したからって敵に見つかり狙撃されることもない、ない、絶対ない!それより良く切れて手入れがしやすく自分の気に入ったデザインや感覚的に合うものを選ぶことが大切だと思う。もちろん、そこに目的が加わればなおいいけれど。


箱出し新品ではスンバラスィ〜〜切れ味タッチ! カールしたフェザースティックでアフロヘアできるぜよ。ところが、、


ある日、ガチガチに締まった松の枝を割って焚付けを作っておりましたら、、


これぞまさしく《洗礼》じゃ〜!このナイフで初めてバトニングした後の写真です。マイクロかももクロかわからへんけどベベルと呼ばれるエッジの最先端部が潰れてる。それでええ!これを経て研ぎ直しては使い、それを繰り返して自分なりのエッジに育ててゆくのです。(エラそ〜〜に)

今は神経質過ぎないエッジに直してエエ〜具合の切れ味と刃持ちになっとります。


あちこち連れ出して、今年は正月キャンプでもこれ一本腰にぶら下げアレコレ使いました。そうなのだ!連れて歩きたいキレモノ、、私がENZOのナイフに求めたのはそこなのです。3本あるMORAのナイフはどれも素晴らしく良く切れる、軽くて安くて扱い易くて遠慮なく使ってきた、、前にアップした【タフなブレード】Queenのナイフも最初は酷かったけど今ではタフで気持ちの良い切れ味になった、、ONTARIOやESEEのナイフも同じ、、でもねキャンプや山ハイクに連れて歩きたいのはENZOなんです。

キャンプでもデイハイクでもナイフを使う機会なんてほんの僅かしかない、それはいつも感じることなんだけどね。必要もないのに小枝拾って削ったりクルクルカールしてみたり、、実際にはそれを使って道具を作り火を起こして、、なんてことは殆どない、これ私の場合。ブッシュクラフトだって必要に迫られてじゃなくナンチャッテ程度。況してや野山でサバイバルなんて普段の生活から考えれば意識してやったとしてもゴッコに過ぎない。街に暮らす私たちには地震や災害から生き延びるための備えとか、その後の生活を立て直す手立てを考えることこそ現実的なのだ。だから震災や災害から生き延びてこれからの生活を立て直している人たちこそサバイバルなのだと思う。若い頃にはバックパッキングで野宿なんて言うと『サバイバルですね〜』って言う人がいたけれどホンマに苦笑するしかなかった。人によってはナイフ見ただけでサバイバル言うから。


話をENZOのナイフに戻すと、、
このナイフもあと何年か使い続けなくちゃ出せない結論もある。三年先には真っ二つに折れてるかもしれないしね。ハンドル割れてまた瞬着で直してるかも。切れ味とかエッジの耐久性とか錆に強いとかはある程度わかった。あとはこれからどう《使える》かです。


先日から浜で切り出してきている流木を樹皮を剥いて1/4に割る。ENZOのナイフをバトンで叩くと2度目か3度目でパカン!と割れる。


エッジの先には既に割れ目が走っている。ブレードのシェイプと厚みがクサビの役割をしてくれるからだ。


この辺りから先はブレードの厚みが木を左右に押し広げながら割ってくれる。エッジは浮いた状態だ。ここで気持ちハンドルを握る手を捏ねてやるとバトンと同時に左右に割れてくれる。アックスと同じだね。


バトンの後で割った木をカールする。木質が柔らかくシュルシュルと削げる。


右は先述したQueenのナイフ。鋼材はD2、フラットグラインドで仕上げはミラーフィニッシュ、箱出しの状態では木も削れず紙もザオザオと裂けるほど切れなかった。それでもダイアモンドや天然砥石、セラミックシャープナーなどで研ぎながら4年使った。その後、コンベックス気味にブレードをシェイプしてからは極めて鋭い切れ味となった。素人仕事であるため完全なコンベックスグラインドには程遠いが見違えるほど《使える》ナイフに化けた。


ENZOのナイフは野山に行くなら連れていきたいキレモノです。使っても使わなくても連れて行きたいと思わせる、そんなオーラを放っています。でもそう言いながら
やっぱり MORA やん!いやいや IZULA やん!ってなる
のはドナイなってマンネン?

反省の半生、ponioでした。
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Posted by ponio at 19:45Comments(4)刃物camp道具たち