2017年02月07日
Case ナイフ Copper Lock ss

このところ《キレモノ》続きでしたが今回はナント!
また《キレモノ》です。例によって《キレモノ》の霊に取り憑かれたお好きな方だけチラ見していってちょーよ。

今回の《キレモノ》は前にもチラホラと登場してきた 米国は CASE 社のフォールディングナイフ、CASEのナイフの型番とも言うべき《ナイフパターン》では549Lで名称は Copper Lock です。

他のCASEナイフ同様ブレードの付け根に製造年と型番、鋼材などを示すタングスタンプと呼ばれる刻印が入っています。ここに打たれた型番は61549L。これを分解すると、、6はハンドル素材でこれはチェスナットボーンと呼ばれる牛の骨に刻みを入れて着色したものです。次の1はブレードの枚数つまり1枚刃で、残る549Lは Copper Lockというナイフパターンを表します。

*CASE社タングスタンプ表より*
このCopper Lockは上のタングスタンプに属すると思われますが私の物は《USA》の刻印の両サイドにドットが打たれており、ちょっと違うんやないかとさらに調べると
同じ時期1997〜1999の間に別のタングスタンプがあることが分かりました。でも今度は《Case》の文字デザインが違っておりドットの位置だけが合ってます。つまり、、作ってる側もわかってない!or たまたまそんなスタンプになってしまったとか。いずれにせよこのCopper Lockは1990年代後半の製造、今が2017年だから20年ほど前の物ということになります。

前にも書きましたがこの Copper Lock はリセール品、つまり個人かディーラーが所有していた物を業者が仕入れて再販売にかけたものです。これを買ったのは8年前ですが価格は当時で¥4.000ほど。安〜⁉︎
箱なし説明書や保証書もなしでしたが届いた品物は意外にも珍品だったのです。Case社のナイフはそれまでにも持っておりましたが正直いって品質は良いとは言えず、それは主に90年代の物でありました。それが同じ90年代の物でありながらこの Caseナイフは実に良く出来ており、ブレードの開閉やロックのかかり具合、パーツの仕上げまで通常の Caseナイフとは明らかに違う仕上がり具合です。

ブレードを起こしてハンドルの中を覗くと真ん中の
Copper Lockだけが光っています。左は2010年代に製造された Case Trapper 、右は同じ2010年代の Case Sowbelly です。特に左のTrapper は《ポケットウォーン》と呼ばれるシリーズで通常のモデルを手仕上げで角やエッジを丸めて磨き上げ、ポケットから長年に渡って出し入れされ使い込まれてすり減った感じを美しく再現しているモデルです。その《ポケットウォーン》ですらハンドルの内部は全く研磨されておらず真っ黒です。それが真ん中の Copper Lockでは研磨仕上げが施されております。

実際にブレードを起こしてみると非常に滑らかでガタがなく、ロックもカチ!でもパチ!でもない柔らかな金属音がします。それは同時代でも職人の秀れた技術が活かされていた日本の高価なマスプロナイフ MOKIのナイフよりも間違いなく人の手が入ったとわかる質感です。
MOKI のナイフが秀れた技術と均一性をウリにしているとしたら、この Copper Lockは限りなく人の手で磨かれ仕上げられた良い意味での個体差とでも言うべきでしょうか。とにかく触れてブレードを起こして畳むと未だ見たことのないCase社の工場で働く職人さん(勝手な想像でハイジのおじいさんみたいな)の仕事ぶりが伝わってくるのです。

この三本は全て タングスタンプに《SS》が刻印されています。つまりステンレススチール鋼です。これをCaseでは Case Tru-Sharp™ Stainless Steel (SS) と呼んでいます。切れ味は刃付けによりますからちゃんと研いでやれば良く切れます。刃持ちは特別良くはありませんがタッチアップも楽ですので使いやすい鋼材と硬度だと思います。

Copper Lock のブレードはこれの変形タイプになりますね。

三本の中ではブレードが一枚のCopper Lockが一番スリムですがハンドル材で程よく厚みを持たせています。

Sowbelly との比較。両方とも携行する時には革のシースを使いますが三枚刃の Sowbelly とは厚みが違うため共用は出来ません。作業用のワークナイフとしてみると
Sowbelly の方が使いやすいと感じます。Copper Lockは
日常のそれほどヘビーではない作業に花を添えてくれる《キレモノ》として以前は仕事にも今は自宅のすぐに手の届くところに置いて使っています。

こうしてデザイン的に気に入った道具は性能や機能一点張りの物より手元に置いて使いたくなるものです。買ってから8年が経ちますが今も《お気に入り》の一本です。
それではまたのお越しを。
ponioでした。

仕事やキャンプでの現役を退いた後、彼(COPPER LOCK)はわが家のキッチンの棚に置かれて週に一度仕入れてくる安いコーヒー豆の封を切る役職に就いております。今もスンバラスィー切れ味でやんす。