2017年01月31日
アメリカンなナイフ

ここに二本のキレモノ有り。
頑強だけど不器用でハードに使えるけれど繊細さがない。そんなアメリカンなナイフ。


上は ONTARIO RAT-3
下が ESEE IZULA 2

叩くことを意識して造られた様な分厚いブレードの峰
二つのナイフは共にフィクストブレードである。一枚の鋼材を左右からハンドル材でサンドイッチしているだけのシンプルなナイフだ。鋼材は炭素鋼1095。ブレードのシェイプはフラット、錆びなどの腐食防止の為にコーティングが施されている。

頭から尻尾までギュッと鋼材が詰まったフルタングと呼ばれる造りで、ハンドル材はマイカルタと呼ばれる積層素材、リネンや紙などをフェノール樹脂を浸潤させて積層圧着した丈夫な素材だ。

RAT-3は樹脂製のシース(ケース)とTECH-LOCKと呼ばれるベルトなどに取り付ける為のアタッチメントとベルトクリップが付属する。ただいずれも使いにくい。ナイフを差し込むとシースがわずかに開き完全に差し込まれると同時にカチッと閉じて固定される。ナイフを引き抜く時はハンドルを握った手の親指でシースを押しながらナイフを引き抜く。

IZULA 2のシースも樹脂製。これも差し込むとわずかに開き最後まで押し込むとパチっと閉じて固定される。このシースは550パラコードなどを使いベルトなどに取り付けられるが写真の様にネックナイフとしても使える。これも親指でシースを押しながらナイフを引き抜くやり方だがネックナイフとしてぶら下げている場合はそのまま下に引っ張ってナイフを引き抜く。


どちらも真っ平らなフラットブレードとフルタング構造、鋼材も同じとくりゃ〜使った感じもほとんど同じである。サイズの違いから細かなコントロール性はIZULA、バトニングなどの叩き技はRAT-3が有利だがそれほど大差はない。

新品の状態ではIZULAの方が鋭利な刃付けがされてあり、RAT-3は簡単な研ぎ直しが必要だった。これはそのまま2つのメーカーの差でもある。
メーカーとしてはONTARIOの方が老舗と呼ばれるほど歴史があり米軍の官給品(空軍のサバイバルナイフ等)などの生産で有名だ。ESEEの方は2010年頃から始まる比較的新しいブランドであり元はRATなるナイフメーカー。今回取り上げたこの二つのナイフは実に良く似ている。それもそのはず、この二つのキレモノは根っこが同じ。ONTARIO社のRATシリーズもESEEブランドのナイフシリーズも同じ人間のプロデュース作品だから。例えばONTARIO社のRAT-3はESEEブランドではRC-3(現 Model 3)と呼ばれ、ただしハンドルサイズやコーティングなど細部が異なっている。新品の状態で刃付けが鋭利だったのはESEEの方だったし品質はESEEの方が上かな。

一方、新品の状態では今ひとつ切れ味が良くなかったONTARIO社のRAT-3。バトニングなどの叩き技には使えたけど鋭利な切れ味からは程遠く研ぎ直しが必要だった。今は耐水ペーパーを使ってハマグリ刃風のナンチャッテ・コンベックスグラインドに仕上げてある。結果、IZULAより繊細な切れ味となった。

クルクルカールも新品のうちは全然作れなかったRAT-3 も刃付けを変えた途端に気持ちの良いタッチになった。

頂き物のクロを奥さんが捌く。うちの奥さんが長年使ってきた小出刃の柄が取れて使えなくなったので刃厚のあるRAT-3で代用した。

小出刃は片刃でRAT-3は両刃、ブレードのデザインも全く違う。切れ味は当然小出刃の方が上だが慣れたらこれでもやれる。骨までガリっと切ったがエッジには目立ったダメージもなく使った後は油を引いておいたので錆も出ていない。

ある年の暮れに奥さんの田舎で行われた餅つきに呼ばれた。姉の家の裏に据えられた二つのカマドに薪を焼べて煙で燻されながら日がな一日火の番をやらせてもらった。それで沸かしたお湯で餅米を蒸すのだ。裏山で切ったり拾ったりしてきた松や楠の枝をガンガン焼べる。中には生木に近いもあって手斧とIZULAでそれらを燃えやすいサイズに叩き割って燃やした。その日は早朝から夕方まで半端ない使われ方で終わり頃にはハンドルのスクリューが緩んでいた。

ある日の仕事。二階建ての納屋の屋根まで伸びたチョウセンアサガオの伐採処理を頼まれた。二本のノコで枝打ちして細かな枝はギアプルーナーで切った。チョウセンアサガオの枝や幹は水分を多く含んだ比較的柔らかな木質だ。可燃物としてゴミ袋に入れなければならず、切った幹まで細かくする必要があったのでRAT-3でバトニング。

チョウセンアサガオを細かくバラした四銃士。
MORAなどの北欧系ナイフを使った後ではフラットグラインドのアメリカンナイフの不器用さを痛感する。特に木材に対するタッチは北欧系のスカンジナビアグラインドが気持ちよく削れるのに対してこの二つのナイフは《ゴリゴリ》《カリカリ》と固く余計な力が要る。

RATもIZULAもゾッとする切れ味でもないかわりに刃こぼれなどに対して神経質にならなくて済む。タフでガンガン使えるキレモノと言える。フェザースティックと呼ばれるカールを作ると北欧系のナイフは柔らかなブロンドでRATやIZULAで作るとチリチリの硬い髪となる。
これらのナイフとそのシリーズは一本のナイフに無理やり多くの作業をやらせようとするアメリカらしい合理性が伝わってくるキレモノたちだ。木を削ったり割ったり肉や魚を捌き格闘にも使える。本来なら斧やノコやフィレナイフや包丁がやる仕事までを何でもやらせようとした作りなのだ。そこに求められるのはアメリカ人が好きそうな《サバイバル》的シチュエーションへの対応力だ。タフでなければならない、一本のナイフで多くの作業をこなせなければならない、そんな意気込み。良い意味でも悪い意味でもこれらはそんなキレモノなのだ。

二本のナイフと同じフルタング構造のナイフ。
ENZO95 Trapper には鋼材とブレードシェイプの差によるいくつかのバリエーションがある。私のは 北欧らしいScandi シェイプ。同じフルタングのシースナイフでも木材に対しては上の二本のナイフとは全く別次元の切れ味だ。ただし、その刃付けは新品の状態ではかなり繊細でバトニングの様な本来ナイフが負うべきでない荒っぽい使い方ではベベルと呼ばれる細かなエッジが見事に潰れてしまう。何度か使用と研ぎ直しを繰り返して今では繊細過ぎないベベルにしてあるが切れ味は変わらない。それでもどこか遠慮気味に使ってしまうのはやはり何処か不安があるからなのかな?と自己分析。


RAT-3 も IZULA もどちらもかなりハードな使われ方をしてきたキレモノです。使って研いで使って首を傾げてまた研ぎ直す。そうやって今はなんとか《まあまあ》な切れ味になりました。でもね剃刀のような切れ味は脆さと紙一重だから《ほどほど》でよいのかもしれないね。
ただ、これだけは言える。
この二本、多分だけど壊れない。
多分だけど使い続ける。
そして多分だけど好きなんだと思う。
不器用でもね。


遠慮なく使える、それが一番。


2023年 合いも変わらず酷使されていますが切れ味はスーパーシャープです。 続きを読む
2017年01月28日
チャリ・ハイク

土曜日、いい天気。暖かい。
昨日ちょっと無理して仕事を片付け今日はお休み。ついこの間《SOLO STOVE》の再起動の際に行った海岸まで自転車を走らせました。
この街にきてもうすぐ14年、この間に乗った自転車は5台。今は石橋1号(国内メーカーのChina made)が愛車。長年乗ったBIANCHIはフレームが破断し、その後のGiantや他の自転車も逝ってしまった。今の石橋1号はママチャリ以上スポーツ車以下の街乗り自転車。重くてなかなか慣れなかったけど今では快適。7段変速でちょっと頑張ればすぐにMAXスピードになる。

その海岸までは二つのルートがある。無駄に上がって無駄に下るバイパス沿いの道、そして唐津までのJRと並行して走る海沿いの道。楽なのはアップダウンの無い海沿いの道だがそのルートには約1.2キロほど側路帯が非常に狭い個所があってそこを走るとすぐ脇を大型のトラックやトレーラーがかすめるように走っていく。つまりストレスロードだ。今日はこのストレスロード1.2キロを必死こいて走った。この間約2分6秒。7段変速じゃこれが精一杯。そこを過ぎればあとは快適な道が続く。

いつも通るたびに止まって眺める海岸沿いの小道。そこに立っていた古びた木の電柱がギラギラした金属製のものに変わっていた。なんだかね、、、またひとつ好きな景観が無くなりました。

途中、これまたよく行く別の海岸で1時間ほどボォーと日向ぼっこ。

今日は MAXPEDITION のコンドル2を背負ってきましたが相変わらずゴロンとした背負い心地です。

CCWと呼ばれるハンドガンを収めるこの部分が要らないね。

今日の主な荷物。ダンプパウチには角型コッヘル、Klean Kanteenには1.2Lほどの水、ファストエイドキット、ライトなど小物を収納したパウチ、緊急連絡先などを記したメモや携帯ラジオ、トイレットロール、250のOD缶、などなど。この他にグラウンドシートやBAHCOのノコギリなんかも持ってきた。

先日来た時と同じ穏やかで暖かな小春日和。波白く海青く島影霞んで風は少し冷たい。

ちょうど昼時だったので飯にする。
今日のクッカーは今はなき《モリタ》の角型コッヘルセット。これにはずいぶんお世話になりました。初めてのバックパッキングもこれでした。

本来、小さい方には袋入りラーメンは入らないがそこはバキバキと割って無理やり押し込んできた。

今日はSOLO STOVEではなくてSOTO SOD-310。

アルミのコッヘルはすぐにお湯が沸く。ハンドルまでアルミなものだから持つ手が熱いのなんのって!あーた!


途中コンビニで買ってきたゆで玉子とカットネギをぶち込んで半煮え蓋閉め2分でちょうど良い加減に出来上がり。


ラーメンの後は小さい方のコッヘルでお湯を沸かしてコーヒー。昼を過ぎてから波乗り人間が一人二人三人と増えてきました。飯も食ったのでそろそろ引きあげる。

元冦防塁が残る松原の奥にあるトイレでマーキング。

防塁

松原といえば焚き付け拾い。その為にBAHCOのノコギリと小さなシースナイフを持ってきたが良い焚き付けがなく使わずじまい。そんな日もある。

再び自転車にまたがり松原沿いに続く遊歩道を西へ西へと走る。途中、海岸に出て一枚。ユッフォー(UFO)は桃色婦人、アッポーはG馬場さん、アッホッは坂田師匠。

帰り道。今日は大潮、干潟で野鳥見てのんびり休み休み帰る。

最後の立ち寄り地である自宅近くの海岸で本日最後の湯沸かし。

角型コッヘルは注ぎ上手。ホンマに使いやすい。

コッヘルの底にはガソリンバーナーで焼かれた跡がクッキリ。この放射状の黒い焼き跡は SVEA 123Rのもの。長年旅に連れ出していつも確実に働いてくれた名コンビです。
さて、鼻も冷たく冷えてきたのでそろそろおウチに帰りまひょ。
ponioでした。
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2017年01月26日
SOLO STOVE 再起動

こんにちは、ponioです。
久しぶりブリに穏やかな冬の晴れ間に休みが重なりました。
昨日、100均で買ってきた味噌漉しオタマを組み込んで修理した SOLO STOVE を持って少し離れた海岸へ。

着いてすぐに車のハッチを開けてテーブルやらベンチやらをセッティング。先ずは自宅で研いで水に浸けてきたお米を炊飯。SOTO ST-310が地味に炊き上げてくれました。



ご飯を蒸らしている間に本日の主役に火を入れます。
SOLO STOVEを囲っているのはエンバーリット風のパチストーブ。囲う理由は五徳の安定性と言うことに。
炉内の味噌漉しオタマに穴を開けただけの修理なので燃焼自体は少し落ち着くかな(下方からの対流が減るため)と思いきや、、何のなんの、なかなかいい感じに燃えとりました。


途中何度か熾火になったので自宅から持ってきた枝木を割った小薪を追加して再点火。



時間的には30分かそこらでしたがお湯を沸かし肉と野菜を煮込みラーメンを加えて、炊き上がったご飯と一緒に昼飯としました。その後、再々点火でお湯を沸かしてコーヒーも。鍋はTrangiaの黒釜1.75L。ケトルは母譲りの紅ケトル。どちらも煤や脂が落としやすい表面加工がされています。

やっつけ仕事の底網はこれといって損傷なし。燃焼も別に悪くなっていない様な気がします。

これでまた何とか SOLO STOVE を使い続けられそうです。小さくたためないかわりに組み立ても五徳を乗せるだけ。今日は奥さんと二人分の飯を作りまだまだ余裕の熾火あり。


青い海と白い波、夏のギラギラもなく小春日和のポカポカ陽気。青い空にはトンビがこちらを狙ってる。
ponioでした。
2017年01月25日
あっさり修理SOLO STOVE

前回のつづきです。ボロボロになったSOLO STOVEの炉内のニクロムワイアーを全て取り外しました。ほんで仕事帰りに立ち寄った某100円ショップで味噌漉しオタマを買ってきまして、、取っ手を外し、、

縁を少〜し曲げつつ炉内に押し込みまして、、、ピッタシ!

ほんで、マルチツールのリーマーでグリグリ穴を開け、

更にホレホレ、、と穴を大きくして完成。たった10分のヤッツケ仕事。ウッドペレット用の底網もこんな風でした。オリジナルから比べると下方からの空気の取り入れは明らかに減るでしょうね。つまり燃焼が大人しくなる言うことです。灰や熾による目詰まりもあるでしょう。
そん時はまた穴をグリグリ開けましょ。

まだまだ働いてもらいまっせ〜〜〜!

ついでに100均で買ってきました小物たち。ライターはロングノズルのターボタイプ使い捨て。コットンボールは夜のお化粧に、、ちゃうちゃう!これにアルコール浸み込ませてウッドストーブや焚き火の一発点火に使います。溶かした蝋にぶち込んで蝋球作っておけばこれまた着火剤になります。ただのスペクトラ模様かリップストップか、小物を収納するパウチはライターや着火剤、マルチツールなどを入れておく整理袋。こんなツイデ買いが100均の楽しいところ。
ponioでした。
2017年01月24日
ウホ!ウホ! part 2



ウホ!ウホ!と閃いた!
エンバーリットのパチストーブに《SOLO STOVE》を
インしたら!
何の意味あんのん? って?
このエンバーリットのパチもんストーブが二次燃焼してる風に見える、、、てぇのは? だから??
風防! 隙間だらけやし、、。あ、そう。
なら、、デカイ鍋を乗せられる!スキレット乗せられる! てぇのは? うーむ、、それありかな、、、。
でもね、、《SOLO STOVE 》の火力と燃焼時間じゃあデカイ鍋乗せてもお湯も沸かないちゃう?
むむむ、、。じやあ中くらいの鍋!
ハイハイ。 続きを読む
2017年01月22日
ウホー!
ウホウホウホ!
ウホー!ウホ、ウホ! と何やら閃き、ひとり興奮して冷める日曜の午後。
天気悪いし寒いし風ピューピューだし。
こんな日曜日の午後は古い吹き替えの洋画でもみて、、
とパッと閃いた!ウホウホ!ウホー!と部屋にすっ飛んで行きゴソゴソ引っ張り出してガチャガチャ組み立てて、、、ダメか、、とため息ついて、、これでどや!
ウホー!!

ウホ!

ウホウホ!

ウホ?

ウホー!

ウホ⤵︎ 隙間あるし、、。
避難用品レベル4から引っ張り出してきたのは エンバーリットストーブの真っ赤なパチもん。名前は、、忘れたヨウヨウ。それに避難用品レベル3の中からTrangia の
ストームクッカーを引っ張り出して、、合体だー!
ウッドストーブの風防兼五徳になるかな、、、なんて閃めくが、下のストーブにX五徳はめるとストームクッカーの風防がビミョ〜〜にハマらない。そこで!父ちゃん考えた。このストーブ熱変形してユルユルだった〜、それを利用して、、、ウッシッシー、、ヤッパ!思った通りや!五徳外したらユルユル歪んで風防にハマったアル!
ストームクッカーの風防には三本のポットサポートが付いてるのでそのままソースパンやケトルが使えるやん!
ユニのごはんクッカーとかストアウェイポットも使えるやん!俺、天才!と喜びつつ恐々下を覗いてみると、、
あら?隙間あるやん?!ガックリクリクリ栗の助。
チャンチャン!
でも諦めきれないからいずれやってみまひょ。
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ウホー!ウホ、ウホ! と何やら閃き、ひとり興奮して冷める日曜の午後。
天気悪いし寒いし風ピューピューだし。
こんな日曜日の午後は古い吹き替えの洋画でもみて、、
とパッと閃いた!ウホウホ!ウホー!と部屋にすっ飛んで行きゴソゴソ引っ張り出してガチャガチャ組み立てて、、、ダメか、、とため息ついて、、これでどや!
ウホー!!

ウホ!

ウホウホ!

ウホ?

ウホー!

ウホ⤵︎ 隙間あるし、、。
避難用品レベル4から引っ張り出してきたのは エンバーリットストーブの真っ赤なパチもん。名前は、、忘れたヨウヨウ。それに避難用品レベル3の中からTrangia の
ストームクッカーを引っ張り出して、、合体だー!
ウッドストーブの風防兼五徳になるかな、、、なんて閃めくが、下のストーブにX五徳はめるとストームクッカーの風防がビミョ〜〜にハマらない。そこで!父ちゃん考えた。このストーブ熱変形してユルユルだった〜、それを利用して、、、ウッシッシー、、ヤッパ!思った通りや!五徳外したらユルユル歪んで風防にハマったアル!
ストームクッカーの風防には三本のポットサポートが付いてるのでそのままソースパンやケトルが使えるやん!
ユニのごはんクッカーとかストアウェイポットも使えるやん!俺、天才!と喜びつつ恐々下を覗いてみると、、
あら?隙間あるやん?!ガックリクリクリ栗の助。
チャンチャン!
でも諦めきれないからいずれやってみまひょ。
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2017年01月20日
MORA アップデート

MORA High Q Robust
カーボンスチールのブレードをバーチウッドのガンブルーで黒染めしてハンドルに赤を入れました。
ブレードは雨の日の作業の後、帰宅までの間に見事に錆色変色したことがあります。MORAのカーボンスチールのブレードはそれは見事な切れ味ですが水気のある環境ではステンレス鋼のものをと使い分けをしていました。
錆色に変色してもそのまま放置しなければ錆が深く入ることはなくブレードも磨けば元通りになります。購入から数年経ちますがこれまでそのまま使ってきました。ブレードは変色と擦り傷だらけ、ハンドルも汚れが目立つようになったので、ここいらでチョッピリ化粧直ししました。ハンドルの赤文字はアクリル絵の具、汚れは油汚れ専用のマジックリンで落としました。

購入から数年経ち使い込んでも変わらない切れ味。スーパーなどのレシートなどで超細かなフェザースティックならぬフェザーペーパーが作れる。最近は木より紙で着火剤を作ってストックしています。
ponioでした。
またのお越しを。
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2017年01月19日
Kershaw のナイフ


Kershaw は米国のメジャーなナイフブランドです。しかしその技術的起点となっているのはナント日本の刃物メーカー 貝印株式会社です。日本の秀れた刃物メーカーの技術に米国の思考とデザインなどを融合させたのが kai U.S.A. ltd.という米国法人でありその中のナイフ部門として1974年に誕生したのが今をときめく Kershaw なのです。
例えば、、


わたしの持っているこのナイフ(model 1056)もブランドは Kershawですが日本製です。現在は台湾や中国が多数を占めますが日本の刃物メーカーも90年代後半までは米国向けの製品を多数製造していたのです。それも半端ない秀れた技術力で。
《KAI CUT》と刻印されたKershawのナイフも見たことがありますし、MOKI製というのも聞いたことがあります。
わたしもこれまでいくつかのKershawのナイフを使ってきましたがどれも日本製でした。
さて今回ご紹介するのはいかにも米国らしいデザインと機構をもった米国で製造されたKershawのナイフです。

Kershaw BLUR (#1670PURBDZ)
製造は米国です。
デザインは Ken Onionさん
鋼材はBDZ1と呼ばれるステンレス鋼。
このBLURにはブレードシェイプと鋼材そしてハンドルの違いによる多くのバリエーションが存在します。わたしのはその中でも最も安価な部類です。パープルのハンドルはアルミ製でしっかりとした滑り止めが埋め込まれてます。反対側にはポケットクリップが設けられています。ブレードはいわゆる TANTO スタイル、つまり日本の短刀を模したデザインです。


この TANTO スタイルのブレードの特徴は何と言ってもその鋭い切っ先です。米国ではこのTANTOブレードによるペネトレーション(貫通力)を大々的に宣伝している大手ナイフメーカーもあるくらいです。車のボンネットなどにナイフを突き立ててどれほどの強度、貫通力があるのかを派手なパフォーマンスでやってます。(まぁ、正直アホでっせ。)
それは兎も角、わたしがこのTANTO スタイルのブレードを選んだのは何もその高い貫通力が必要だからではありまへん。この手のブレードにはそれなりの便利な使い方があるんでザーマスのよ。

例えばね、ダンボールなんかを切る時にこの鋭い切っ先で一度軽く切り込みを入れ、次にその切り込みに沿ってブレード全体でカットする。つまり二度切りです。浅く切ってから同じラインを一気に切る。これは若い頃に経験した輸入品の仕分けの際に覚えたやり方で、一本のナイフでなるべく多くのダンボールを切ったり畳んだりする時のテクです。これも米国の大手ナイフメーカーみたいにダンボールを連続何枚ぶった斬れるかなんてことはしないアル。兎に角、この切っ先ホンマによう切れるんですわ。カッターナイフみたいに使えます。

このブレードにはカッティングエッジが4面あります。先端(ポイント)から伸びる短い直線その両面、そしてブレード後端まで伸びる長い直線その両面の計4面。特にポイントから伸びる短い方のカッティングエッジは彫刻刀の平刀や切り出し刀のような使い方ができます。引くより押し切りが得意なのです。

木の枝などをクルクルカールするのには長い方のカッティングエッジを使います。これもまた素晴らしい切れ味。

Spyderco Tenaciousとツーショット。
Spydercoの方はブランドの代名詞ともなったサムホール(ブレードに空いた丸い穴)に親指や中指の先端を引っ掛けブレードを起こす、100%手動のオープニング。100%手動だけど慣れてくると一瞬でブレードを開き切ることが出来ます。

対する Kershaw の BLUR はスピードセーフとか
アシストオープンなどと呼ばれる機構が組み込まれています。簡単に言えば ハイブリッドのオープニングです。180度の開閉角度のうちブレードは閉じた状態から90度までは内蔵されたヒゲバネのテンションで開く方向へアシストされ、更にフルオープンまでの残り90度はアシストされた勢いをかりてのオープンとなります。電気チャリと同じですね。

ブレードの両面に突き出したサムスタッドと呼ばれる突起を親指で軽く弾くと瞬間的にブレードはオープン、現在は発禁となっているスイッチブレード(飛出しナイフ)は《オートマチック》と呼ばれるスプリングによる100%のフルアシストオープンです。この点でKershawのアシストオープンは《セミオート》と言えます。それはブレードをたたむ時によくわかります。ロックを外してブレードをたたむ時にフルオープンから90度までは殆ど抵抗なく畳めますが、そこからクローズするまでの90度はスプリングの反発を感じ続けます。
Spydercoのサムホールはある程度意識して指を弾かないとブレードのオープンが不完全になることがありますがKershawのアシストオープンは指を軽く弾くだけで利き手でも反対でも確実にスピードオープンできます。これがアシストオープンの特徴です。

ポケットクリップは現代ナイフには当たり前となった感がありますが実のところこれにも使いやすい使いにくいがある。

二つのナイフを比べると右のSpydercoはツルピカのクリップに均一なチェッカリングのグリップパネルがスムースなクリッピングを可能にしている。ポケットに差し込む時も引き抜く時もどちらもスムースだ。対する左の BLURの方はキツめのグリップにくわえてグリップパネルに埋め込まれた黒い滑り止めが抵抗になってポケットからの出し入れがやりにくいのだ。

BLURの数あるバリエーションの中からこの一本を選んだのは単に《安かった》から。米ドルで$43くらいでした。実はこのBLUR、以前からライナーロックの掛かり方がかなり浅く不意にブレードが閉じて指を切ったなどyoutubeでアップされちょりました。試しにブレードを起こしてドライバーでライナーをブレード側に押し込んでやると更に深く掛かります。つまり擦り合わせの問題なのだね。一方、youtubeでアップされたBLURのロックはブレードに畳もうとする力を掛けるとライナー式のロックがズリッと横ズレて、結果ブレードが不意に閉じてしまうようだ。だから単にパーツを磨いて擦り合わせをしただけではこのライナーの横滑りは解決しない。それどころか余計スリップしやすくなる危うさも秘めている。ここはロックが浅く掛かることを意識して使いながら、パーツ同士の自然な馴染みを待つことにしました。
*《下手に手を入れない》これも若い頃に学んだことです。物にも生き物同様生まれてからピークを迎え落ちてゆく曲線があります。新品の状態がベストとは限らず、試運転が済んで程よく馴染んだ頃が始まりというのもあれば、人が手を入れないとダメな物もあります。物を構成するパーツはいずれ擦り減り不具合が出始めます。そこでパーツ交換や調整を行うことで下降する曲線を再び横ばいに戻すことが出来るのです。(アップは難しい)人の成長や老化と同じですね。新しい内から人が手を入れて人為的に馴染ませることもありますが、それは物によってピークを早く迎えることになり下降もそれにつれて早くなる、、つまり寿命が短くなる可能性だってあるのです。今回の
BLUR のロックの件は自然に馴染むと判断して何も手を入れないことにしました。
CASE のナイフには日用品的な目立たなさがありますが、BLUR はその外観から相当の威圧感や恐怖感さえ感じます。わたし自身このBLURのデザインにはかなりの脅威を感じるので人前では使わないように心掛けています。なのでこのナイフは自分にとって隠し玉。独りの仕事、自宅での作業そんな時にサッと出してサッと納めるのが宿命なのです。

最後にこのモデルの鋼材であるBDZ1はわたしにとって初物です。そんな鋼材があることすら知りませんでした。同じ BLUR のバリエーションの中でもこの
BDZ1という鋼材を使ったモデルはかなり安くなっている為きっと安価な鋼材なのでしょうね。最近はあまり鋼材にこだわりがなくなった私。要は1日を通してちゃんと切れたらそれでエエのです。
CTS-BDZ1(Carpenter) - Stainless steel designed to provide uniform, fine carbide structure. Highly stain resistant, used for razor blades and other utility applications. Max working hardness around 60HRC. By specs it belongs to German W-Nr 1.4037 steel group, however unlike the 1.4037 spec CTS-BDZ1 contains trace amounts of Molyubdenum, upto 0.75%. Not much, but it';s a strong carbide former and 0.75% is better then 0. てなことが
記されたwebを見つけましたが要は使ってみなけりゃわからないチュウことです。


長い読み物でしたが今日はこれまでサヨウナラ〜。
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2017年01月17日
CASE のワークナイフ

こんにちは、ponioでございます。
今回は日常から仕事まで幅広く使われてきた一本の
《ワークナイフ》をご紹介いたします。例によってお好きな方だけコッソリ覗いてみてチョーよ。

CASE #T.B.6339 SOWBELLY SS
海の向こうのアメリカの古き良きナイフメーカーである
CASE 社 のワークナイフ【SOWBELLY】です。
ブレードに刻まれたCASE パターンは《T.B 6339 SS》で、最初の数字はハンドルの素材を表し6はボーン(ゼブ牛の脛骨)、次の数字3はブレードの枚数、残る二桁の数字はCASE社のナイフのパターン(グループ)を表します。39はSOWBELLY。末尾のSS は鋼材で、SSはステンレス鋼を表しています。尚、最初のアルファベット《T.B》はカスタムナイフメーカーとして有名な Tony Bose のイニシャル。CASE社のナイフの中には Tony Bose 氏のデザインやプロデュースの製品がいくつかあります。


*CASE 社のタングスタンプ検索より
2011年製であることがわかります。

sowbellyの意は(豚のバラ肉の塩漬け:ベーコン)、これは多分ナイフを畳んだ時の形が塩漬けした豚のバラ肉の断面に似ているから?なんて勝手に納得しております。違ってたらメンゴ。

ブレードは3枚、メインのクリップポイント、そしてシープフットと呼ばれる日本の切り出しみたいなブレード、そしてスペイと呼ばれる変わった形状のブレードの3枚。

クリップポイントはオールマイティな作業ブレードです。使いやすく《切る》作業全般に使えます。

シープフットはカッターナイフの様な先端を活かした作業に向いているとされ、パイプのメンテナンスにも使われたとか、、実際にはポイント(先端部)は言うほど鋭くはなく新品の状態でもカッターナイフの様な使い方は難しかったです。ただ、その後の研ぎ方によってはポイントをかなり鋭利に仕上げられるのでブレードを立ててポイントを活かした作業にも使えます。

スペイブレードは同社の TRAPPERではかなりの長さがありますが、sowbellyのスペイはとても短いブレードです。先端は刺せと言われても刺さらないほどに丸く、その形状から医療用のメスの様な使われ方をした様です。牛の去勢などにも使われ、その際には必要以外の部位まで傷をつけない様にこの様な形状をしているとか。本当か嘘かわかりまへんが。
*このワークナイフの良さは何と言っても3枚のブレードにあります。何をどの作業に使うかと言うよりも、一枚の切れ味が落ちたら別のブレードを使える、つまり予備のブレードとしての役目が大きいですね。

ある仕事で障子貼りを頼まれた際に糊をつけて貼り付けた障子紙を桟に合わせて切り取るという作業がありました。その際に木の桟を傷つけずに薄い障子紙だけを切るのを SOWBELLY のスペイブレードがやってくれました。丸く薄い先端部で木目に沿って切り取っていく。実に助かりました。

ある仕事では鉢植えの植え替えを頼まれ、その際には土を抱きかかえてびっしりと生えた根を切るのにシープフットを使いました。

毎年恒例の春のヨモギ摘みでは SOWBELLY のクリップポイントやシープフットのブレードが役に立ちます。

Spyderco のようなポケットクリップが付けられていないSOWBELLY を持ち出す時はレザーシースに入れて携行します。このレザーシースはオーダーメイドでリック・ガルシア作。

このワークナイフは今流のナイフではありません。
サムホールやフリッパーで片手でポンとブレードが出せるわけでも、ポケットクリップで簡単に携行できるわけでも、粉末合金のように硬度が高いわけでも刃持ちが素晴らしいわけでもありません。ブレードを起こす時には両手が必要ですし、スリップジョイントなのでロックも無し、ブレードは良く切れますが刃持ちよりは研ぎやすさ重視です。北欧系のナイフみたいにウッドクラフトが得意でもなく、かと言ってブッシュクラフトに使えない事はなく、どちらかと言えば日常生活の中でで考えられる様々な《切る》《削る》などの作業にオールマイティで活躍できるナイフなのです。

わたしはこのナイフを2011年頃からずっと仕事に日常に使ってきました。使用頻度はかなり高く今では見事に傷だらけです。でもね、これお気に入りなのです。本当はキャンプでもこれ一本あれば殆どの切る作業は出来るのです。

好きだから長く使える。
好きだから愛着が湧く。
たとえ傷だらけになってもそれは変わらない。
Spyderco も Kershaw もカッコいい。
ワンハンドでサッとブレードを起こせてサッとたためる。ポケットクリップは使いやすく鋼材だって色々選べる。確かに今流のナイフは便利だ。でもね、、飽きるんだな、、そんな時にふと手にしたくなるのが CASE みたいなオールドスタイルのワークナイフ、日用品的なキレモノなのだ。
ponioでした。 続きを読む
2017年01月14日
ハンドルを直してあげる

20年以上前に母親にあげたTrangiaの紅いケトルを引き取ったのは父の一周忌の帰省でのことだった。その母も1年前に亡くなった。
母親は20数年前に息子からもらったその紅いケトルを亡くなる一年前まで使っていた。ごく普通に自宅の台所で。内部のノンスティック加工のことも、PRIMUS#IP-2243のバーナー部を蓋の裏にねじ込んで収納できることも、そのケトルが20年ほどの間に無垢のアルミ(銀色)に変わったことも何も知らずに使ってきたのだ。ハンドルは多分折りたたんだままで火に掛けたのだろう。黒のコーティングが溶けて固まりかわりに何かテープのような物を巻きつけて使っていたようだ。私はそんなことも知らずに、母に紅いケトルを贈ったことすら忘れて暮らしてきた。

母から譲り受けた紅いケトルは満身創痍。とくにハンドルが酷かった。とりあえずダクトテープを巻きつけ使ってきたが耐熱チューブがあったことをふと思い出した。

❶ LEATHERMAN でハンドルの一方を曲げ起こしケトルから外す。曲げてみて分かったけどかなり硬いハンドルだ。
❷ 外してからがなかなか大変だった。20年以上も使われ続けてきたハンドルには溶けたコーティングや母が巻いたであろうテープがガチガチに固まってへばり着いていた。それを LEATHERMAN のナイフを使って根気よく削り剥がしていく。
❸ あらかた剥がれたら600番の耐水ペーパーで大まかに磨く。
❹ SOTO ST-310の五徳に通した赤い耐熱チューブの残りを使う。Trangia オリジナルのコーティングよりはるかに分厚い。でもこれしかないのでコレを使う。

ハンドルをケトルに取り付け曲げ起こした部分を再度曲げ直す。これもなかなか硬かったス。
よく見りゃブッといチューブやなぁ〜。ま、ええか。
今日は今季最強寒波とかで確かに北西の風がゴッツイ冷たく強い。こんな日はストームクッカー持って、、、まてまて何もこんな日にわざわざ使うことありませんね。明日も同じような天気らしい。
奥さんが『どこいく〜?』『カップヌードル持って〜』
ん??外でなんか食べようてぇーの?好っきゃなぁ〜。
ponioでした。