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2021年03月10日

H.A.A フライパンとシーズニング

H.A.A フライパンとシーズニング
FIRE BOX HAA frypan/ Large
『やぎオジサン』のフライパンです。わからない方は【キャンプ場での出来事】をご覧ください。

アルミ製
表面は H.A.A (ハードアノダイズド加工)
要シーズニング

アルミ製ハードアノダイズド加工のクッカーにシーズニングとは、、正直聞いたことなかったアル。以前、海外の動画でステンレス製のフライパンにシーズニング(オイル塗布後に焚き火で加熱、その後に余分なオイルを捨てる)というのを見たことがある。ステンレス製の鍋やフライパンに油を引いてそれを食材を入れずに加熱するとやや黄ばんだような硬い膜が出来るのは知っていた。それは落とすのに苦労するほど頑固な汚れとして扱われてきた。今回のハードアノダイズド加工に対するシーズニングはまさにそれ、油による頑固な汚れ(膜)を形成するというものだった。
H.A.A フライパンとシーズニング
数度のシーズニングと頻繁な使用でこんな感じに仕上がります。シーズニングはたまたま自宅にあったエゴマ油を塗ってはオーブン(250℃)で表裏をそれぞれ30分単位で5〜6回焼くという気の遠くなるような方法(マニュアル通り)でやりましたが、もしキャンプの際なら焚き火台の熾の上に放ったらかしで良かったと思います。ただし、油を塗っては焼くを繰り返すのは同じですから手間といえば手間ですが。コーヒー色になってからもこれでバターを溶かしてパンを焼いたり、炒め物をしたり油を使った調理をやって現在に至ります。

H.A.A フライパンとシーズニング
新品はこんな色。こちらは cowboy plate と呼ばれる蓋、皿。フライパンも全く同じ仕上げ。ムラのない均一な仕上がり。感触はサラサラ、他のハードアノダイズド加工のクッカーと何ら変わりはない。アルミ製なのでめっぽう軽い。
H.A.A フライパンとシーズニング
『ハードアノダイズ処理により、表面層が高導電性のセラミックに変化します。』という様なことが記されています。
H.A.A フライパンとシーズニング
6回のシーズニングを経てようやくこの色に。表面はガラス質然としていて指で触れるとサラサラとキュキュッの中間。水を入れると完璧に弾きます。ハードアノダイズド加工のままでは表面に水分がかなり残ります。このコーヒー色になった時点で形成される表面のコーティングは多孔質で油のしみ込みが良く多少の傷なら繰り返し使用することで修復される様です。

H.A.A フライパンとシーズニング
コーヒー色になったら完成なのかな?と終わりが見えない気もしたが何か食材を焼いたり炒めたりしてこびり着き具合で確認する。

H.A.A フライパンとシーズニング
新品の頃の底面。
ハードアノダイズドの表面はノンスティックコーティングとは違いますと説明にはある。それはわかる。

H.A.A フライパンとシーズニング
シーズニング後の鍋底。

H.A.A フライパンとシーズニング
シーズニングが上手くいったかどうかのテストは目玉焼きが一番。わずかなこびり着きが残るが簡単に取れる。これがシーズニングの途中(3回目)では全体的に見事にこびり着いた。

H.A.A フライパンとシーズニング
ホットケーキもなかなかハードルが高い。

H.A.A フライパンとシーズニング
慎重に剥がして裏返し。ほぼ焼き上がりは均一な感じ。ただ、そこは比較的薄造りのアルミ製フライパン。スキレットの様なふっくらした焼き上がりにはならない。ここんとこは割り切って使う必要あり。このフライパンでホットケーキなどをふっくら焼くなら水分(牛乳や水)を少なめに混ぜ方を粗くしてやれば厚みが出せる。ただし、溶かしバターを入れたり仕上げの際にわずかな水を差して蒸し焼きにしないとパサパサ感が強くなる。

H.A.A フライパンとシーズニング
ホットケーキを焼いた後もこの通り。

H.A.A フライパンとシーズニング
キャンプデビューした際にはキムチ鍋と朝食の定番に使った。熱源は七輪とオガ炭。ストーブバーナーの様なホットスポットが出来ないので実に上手く焼き上がる。目玉焼きもふっくらではないが、味に変わりはなく、裏面はカリカリでなかなか旨かったアル。

H.A.A フライパンとシーズニング
鍋物も面積が大きいので多くの具材を一度に煮込める。

このフライパン、シーズニング後は金属製のヘラやトングも使うのをやめた方が良い。シーズニングによって得られた硬質のコーティングに傷を入れてしまうからだ。でもちょっと考えてみてちょーよ。元々 HAA という硬質の加工が施されているのにシーズニングでコーティングを施してしまうと今度は傷が入らない様に使う側が気をつけなければならなくなる。HAA のままガシガシ使うか、シーズニングした表面を傷つけない様に使うか、、うーむ、迷いどころだね。

H.A.A フライパンとシーズニング
先にも書いたが、オイルを塗布して食材なしで加熱しするシーズニング方法はステンレス製にも使える。以前、キャプテンスタッグさんのステンレス製三層フライパンを初めて使った際に食材が乗っかっていた部分とそうでない部分で大きな違いが見られた。Trangia の DUOSSAL もそうだった。食材が乗っていない部分では薄く引いた油が頑固な汚れ(?)となって落とすのに苦労した。これが今回のコーティングの正体なのである。ステンレス製フライパンの余白部分にできた頑固な汚れもティファール の鍋の外側についた汚れも同じオイルによるコーティングなのである。

H.A.A フライパンとシーズニング
このフライパンには縁の折り返し(リム)が無い。水洗いの後もこの部分に水分が残ることがない。
H.A.A フライパンとシーズニング
こちらは蓋の代わりになる cowboy plate なる皿、蓋、フライパン。こちらにはリムが設けられている。

H.A.A フライパンとシーズニング
縁の幅(厚み)もこの様に違う。

H.A.A フライパンとシーズニング
パンリフターと呼ばれる専用ハンドルで掴んでみると、フライパンの方は違和感なく水平になる。

H.A.A フライパンとシーズニング
cowboy plate の方はリムや縁の幅の影響でやや下向きになる。この cowboy plate は本来フライパンの蓋として使い上に熾した炭を乗っけて上下から加熱するダッチオーブンの様な使い方が出来る。鋳鉄または黒皮鉄板製の様な蓄熱を利用した加熱調理は望めないがアルミの熱伝導の良さを活かした素早く均一な加熱が出来る。

H.A.A フライパンとシーズニング
cowboy plate もこんな感じになりました。
これを蓋代わりに使うと横滑りすることが多いので金属製のクリップで縁を留めます。

H.A.A フライパンとシーズニング
このフライパン、あれこれ試してみるとやはり炭火やオープンファイアーつまり焚き火が適していると感じる。わが家のガスコンロやカセットコンロ、アウトドア用ストーブバーナーでは何も考えずに使うとバーナーヘッドの大きさとヒートパターン(燃焼炎の広がり)に比例したホットスポットが生まれる。つまりそこだけ焦げるかカリッと焼けるのである。食材を動かさずに焼く場合は最初に薄ら煙が上がるくらいまで加熱したあと弱火にしてから食材を入れるときれいに焼ける。手入れは簡単で、少し冷めたところで水かお湯を注いで樹脂製のフライ返しなどでこびり着き(ある場合)を突いてやると簡単に取れる。そのあとで中の水がお湯を捨ててキッチンペーパーで拭き取ればツルピカになる。このあたりはスキレットと同じであるがサビに対する気づかいが要らないあたりが楽チンである。

H.A.A フライパンとシーズニング
どうせ食べるなら美味しく食べたい、旨いものを食べたい、それはアタシも同じです。その為に美味しく旨く仕上がる様な調理法や調理器具を使う。薄っぺらなアルミのフライパンより分厚い鉄板かスキレットでフワッとカリッと仕上げる方がいい。でもね、ほどほどにしておこうと思う時もある。コダワリを捨てる? いや、ほどほどでも美味しいと納得できる自分でいたいのだ。先日のキャンプでこのフライパンを使った。鍋物と焼き物をしたけどどちらも美味しかったよ〜。

H.A.A フライパンとシーズニング
『あぁ、やっぱり土鍋の方が美味しいね〜』とか『スキレットで焼く方が好きだなぁ〜』なんてことは考えもしなかったアル。このフライパンの落とし所はそこにあるのだと思う。軽くて手入れが簡単、テフロンなどのコーティングじゃないから直火でガンガン焼いても傷まない。ダッチオーブンみたいな上下加熱もできる。比べちゃいかんのだ〜。これはこれの美味しさ楽しさがあるのさ!

ここで実験をひとつ、、同じ火力で加熱された場合の違いを数値で見てみましょう。これはわが家のキッチンのガスレンジ にて計測したものダス。うちのガスレンジ は加熱する鍋などの温度が上がりすぎると自動的に火力を落とす仕組みとなっており(場合によっては不便なのですが)、これを利用して他のフライパンと比較してみました。この数値はガスレンジ を点火して同じ火力で加熱し続け各フライパンの温度が上がってガスレンジ が自動的に火力を落とすまでの時間です。火力が落ちる際に鳴る警告音でストップウォッチを止めています。

H.A.Aフライパン(FIRE BOX ) 45秒
三層ステンレス・フライパン (キャプテンスタッグ)56秒
1.6mm鋼板・黒皮鉄フライパン(和平フレイズ)78秒
鋳鉄製スキレット10ihch (LODGE )133秒

、、とこんな具合です。素材も製造方法もそれぞれに違いますが、やはり H.A.A はアルミ製だけあって一定の温度に達するのが速いのがわかります。今回同じアルミ製のフライパンであるティファール や Trangia のフライパンはテフロンやノンスティックのコーティングが施されているため空焼きではそれ自体が傷む可能性を考えやっておりません。スキレットなど蓄熱性が高いものは十分に加熱してから食材を入れあとは火力を絞っても十分に調理ができます。黒皮鋼板のものはスキレットよりも温まるのが速いため煙が上がった時点で十分です。

H.A.A フライパンとシーズニング
三層ステンレスフライパンの加熱による油の変色。H.A.A と同じコーヒー色です。

三層ステンレスのものは H.A.A のコーティングの様に油分が硬い膜を作るのでステンレス特有の色合いを保ちたければ油を敷いての空焼きはやめるべきでしょう。今回ご紹介した H.A.A フライパンは一定の温度に達する時間が短くシーズニングが終わっていない状態ではこびり着きを起こしやすい特性があります。ですから、最初だけ面倒でもシーズニングを施してやるべきです。
H.A.A フライパンとシーズニング
これは H.A.Aフライパンの蓋として使えるカウボーイプレートです。蓋として使う限りはシーズニングは必要ありませんがワタシは一応やっておきました。ただ、フライパンの様に時間をかけて何度も何度も焼かず自宅やキャンプでの調理の際についでに空焼きして徐々にシーズニングしています。まだまだあのコーヒー色にはなっておりませんが、卵などもこびり着かずに焼けるようになりました。

追記
H.A.A フライパンとシーズニング
このフライパンは熱の伝達に秀れていますが蓄熱性はあまり良くなく火を止めるとすぐに静かになります。土鍋のような沸々は望めません。このフライパンで鍋物をする時は常時加熱出来る方が良いのです。前回のキャンプでは七輪の上に乗せたまま熱々を頂きました。

2021.04.08
H.A.A フライパンとシーズニング
H.A.A フライパンとシーズニング
炭と熾を使った上下加熱でピザを焼く。ついでにシーズニングも兼ねて空焼きしておく。このキャンプではピザの他にも揚げ物や焼き物にも使われました。

H.A.A フライパンとシーズニング
冷凍の炒飯をドサっと放り込みペタペタと平にならしアルコールバーナーで混ぜずに加熱。カウボーイプレートで蓋をしてしばらくそのまま放置。忘れた頃に蓋をとりフライ返しで炒飯をひっくり返す。元々油分がある冷食なので全くこびり着いていない。そうやってフライパンを振るのではなくじっと我慢の焼き飯に。最後に卵を割り入れかき混ぜパラパラになったら出来上がり。




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この記事へのコメント
H.A.A フライパンのシーズニングに関して追記です。油は最初多めに塗りました。次はペーパーで拭き取った際の油(ペーパーに残った)をそのまま塗りました。3回目に新しい油を塗って、その後はまたペーパーに残った油を使いました。あとは油を使った調理で重ね重ねのコーティングとなりました。
Posted by ponioponio at 2021年04月03日 22:34
遅くなりました。ワタシはたまたま木製品に擦り込むのに使っていた古いエゴマ油を使いました。マニュアル動画の様に適当に塗ったオイルを車の手入れなどにも使うペーパー(厚手で柔らかなもの)で拭き取りながら全体にのばしてオーブンへ。ただ、オーブンで焼くと臭いが結構ありまして換気扇は回しっ放しでした。塗って焼いて冷まして(窓際に置くと直ぐに冷めます)、次はペーパーに残った油を塗ってまたオーブンへ。予熱を含めて40分ずつ二日にわたり6回(時間かかりますね)焼きました。あとは何かにつけて自宅の調理に持ち出し使うことで深い色合いに変わりました。洗う時はお湯で、樹脂製のフライ返しで汚れを落とすだけです。洗い終えたら空焼きして水分を飛ばして適当に油を塗りそれをペーパーで乾拭きします。キャンプなどで焚き火でガンガン焼くのも有りかと思います。テフロンとは違って熱で剥離することはありませんので使い易いですね。
Posted by ponioponio at 2021年04月03日 22:24
はじめまして。コメント失礼します。同じフライパンのシーズニングに失敗してしまって...拭き取りはキッチンペーパーを使用されたのでしょうか?また、油の薄さは結構薄く塗られたのでしょうか?質問が多くて大変申し訳ありません。お教えていただけると幸いです。
Posted by h at 2021年03月17日 19:50
 
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