2019年01月13日
ESEE の スタンダードナイフ
ESEE のスタンダードナイフ

ESEE は米国のキレモノメーカー。中でもシースナイフはどれもハードユースに耐えられる質実剛健な造り。さらにその中でも《 ESEE 4 》はサイズやデザイン、総合的なバランス感から ESEE の スタンダードナイフと呼ぶに相応しいモデルです。

一枚ものの鋼材(1095カーボンスチール)をマイカルタ(積層素材)もしくは G10という人工のハンドル素材でサンドイッチしただけの頑強なフルタング構造。フラットな4inch のブレードはドロップポイント(クリップポイントも有り)でブレード厚も十分。1095 カーボンスチール鋼に錆止めと反射防止の分厚いコーティングを施したオリジナルモデル群の他に、そのコーティングを省いた Uncoated model 。ハンドルを握りやすい形状にした The Modified Handle model などがラインアップされています。これらにプレーンエッジと呼ばれる直刃、コンボエッジと呼ばれる半波刃のブレードが加わります。

ESEE の シースナイフといえば 1095という
炭素鋼のブレードが代名詞です。昨今の高級鋼材とは違い硬度は特別お硬いわけではありません。が、刃持ちも良く、シースナイフのハードな使い方として世界中に広まった《バトニング》も苦もなくやってのけます。一方、北欧系のキレモノのように木材に対するスムースなタッチの切れ味ではありませんし、食材を繊細にスライスできるような調理ナイフでもありません。同じ米国製で今や食傷気味なくらいにラインナップを出し続けるメーカーの代名詞であるコンベックスグラインドともタッチが全然違う。しかし、このキレモノはその総合力で存在を確立してきたのだと私は感じています。全体的にソツのない造りで工業製品としてもきちっとした仕上がり具合で均一的。隅々まで綺麗に仕上げられています。そして、特別繊細ではないが切れ味十分にして高い耐久性をもち、ハンドル材も含めて不安感のない完成された製品と言えます。

ESEE の IZULA 2
1095カーボンスチールにコーティング
フルタングとマイカルタハンドル
樹脂製シース

ONTARIO RAT-3
1095カーボンスチールにコーティング
フルタングにマイカルタハンドル
樹脂製シース
この1095という炭素鋼のブレードはそれ自体米国を中心としたいわゆるサバイバルブレードの主役的な鋼材となった感があります。わたしもONTARIO の RAT-3 や ESEE の IZULA 2 といった1095ブレードを持っています。この1095のブレードには通常なんらかのコーティングが施されてあります。それは炭素鋼におけるサビの問題を軽減しある種のナイフにおいては戦場等での光の反射を防ぐ役割もあると言われます。
ちなみに、、、
NSN (National Stock Number)で始まる米国国防省の備品管理番号
NSN 1095-01-649-5945 は ESEE-4P-MB-DT (ESEE 4 1095デザートタン プレーンエッジ MOLLY シース付属)に与えられたものです。

わたし自身この何年かに渡って1095ブレードを使ってきましたが目立ったサビが浮いたこともなく、扱いも特に神経質ではありません。仮にサビが浮いたとしてもそれは表面的なもので鋼材の深くまで浸透しているわけではありません。気づいたら表面に浮いたサビなどは耐水ペーパーか研磨スポンジで軽く擦れば取れますし使用上はなんの問題もありません。

しかしこの数年で ESEE のラインナップに炭素鋼のブレードでありながら、コーティングの施されていないブレードや一部ステンレス鋼のブレードが加わりました。何があるのでしょう?

Uncoated model と呼ばれるコーティングなしのモデルについては、個人的にブレードのシェイプや仕上げを変える(カスタム)時にコーティングを剥がす手間を省くためではないかと、、想像ですがね。ステンレス鋼のモデルはサビの問題(問題じゃないとおもいますが、、)を解決するためかと、、いずれにせよ、要望が多かったのだろうと思われます、、想像ですがね。



ESEE ESEE 4P SS
* Overall Length: 9.0″
* Cutting Edge Length: 4.1″
* Overall Blade Length: 4.5″
* Blade Width: 1.25″
* Weight (Knife Only): 8.0 ounces
* Drop Point Blade Style
* Maximum Thickness: .188″
* 440C (Stainless Steel Models
* Removable Handles
* Rounded Pommel w/ Lanyard Hole
* Molded Sheath w/ Clip Plate (Sheath Color Depends On Model)
* Made in the U.S.A.
昨今の高級鋼材を使ったバラエティー豊かなブレード群の中にあって《440C》というと何か過去の鋼材か本当に目立たぬ存在として隅に追いやられた感さえ受けますが、米国流サバイバルブレードの雄、ESEEがこれを採用したからにはそれなりの訳があるのです、、きっと。

フラットで幅広の440C ブレード。メーカーの付けてきたエッジは非常に鋭利。RAT-3 とはまるで違いました。

ブレードは流石の厚み。

ハンドル材はマイカルタ(積層素材)で割れる心配が殆どありません。汚れがつきやすく水分が染み込みやすい性質です。

シースは樹脂製です。シース自体の弾性でしっかりとホールドされます。これを携行する為の二つのアタッチメントも付属します。

手前から奥に、、
ESEE IZULA 2、ONTARIO RAT-3
ESEE 4 P SS ブレード厚は RAT-3 がやや
薄い程度。

シースは同じようなもんです。

ENZO 95 と並べるとブレードのシェイプが大きく違います。アメリカンなフラットと北欧系のスカンディグラインド。

実際にかまぼこ板程度のヤワな木材を削ってみると、、ESEE 4 の方はジョリジョリっと鋭く削れ、削り面はこの様に荒々しい。

対する ENZO 95 は木材に対するタッチがそのまま反映された様な削り面です。スムースでスイスイと削れ滑らかな木肌になります。ここにブレードシェイプやベベル(研ぎ面)の違いが出ます。しかし、結果はどちらも《非常に良く切れる》です。


こうして並べるとやはりブレードの仕上げ方やハンドル材の違いから ENZO 95 の方が美しく見えますが、、、
実は、そうでもありません。この部分、ブレードからハンドルまでのびる鋼材の背の部分を見ると、ENZO の方は打ち抜きからの仕上げ残しと思われる鋼材のウネリや段差がはっきり分かります。対する ESEE 4 は全体的に均一できちっとした造りです。個体差もあるでしょうが、ESEE の方が工業製品としては均一な精度なのかもしれません。


私がこの ESEE 4P SS (ステンレス鋼)を選んだ(というよりこれを待ち望んでいた)のはキレモノにおけるステンレス鋼の使い勝手の良さを経験してきたからです。雨の日も雪の日も、水場での作業も、水分の多い食材のカットもサビを気にせずに作業できる。ステンレスだからといって絶対錆びないわけではありません。錆びにくいといった方がよく、絶対ではないが環境や条件を選ばず使える鋼材なのです。

この鋭利でツルツルなステンレス鋼の幅広ブレード、そして分厚いフルタングの頑強さを活かしてお約束の《叩き》技。ぶっとい薪もパカーンパカーン!と割れて飛びます。散々割った後でそれらをクルクルカール(フェザースティック)を作ってみても何ら問題なくできてしまいます。自宅に戻ってエッジをチェックしますが変わりなし。もちろん、顕微鏡レベルでは《潰れ》はあるでしょうが、感覚的にはまるで変化ありません。チップ(刃こぼれ)をチェックするために不要レシートをカットスライスしてみますがスイスイと問題なくクリアです。特別硬くもない鋼材でこの結果は、いかにこのキレモノがデザインやサイズを含めて完成度が高いものであるかを物語っているように思います。


デカイ薪から作った叩き棒と叩かれ二人組
ESEE 4 P SS と Queen #4180GMB
年末年始のキャンプでも叩かれまくりました。御二方ともにぶっとい薪を物ともせず割まくりまして候。

LION STEEL M5 と ESEE 4 P SS


ベベル(研ぎ面)もよく似た感じ。ブレードシェイプは異なります。

ブレード厚は ESEE 4 が上

ブレードの背、握った時にちょうど親指がかかる部分。LION STEEL M5 はランプが設けられ全体的に丸みを帯びた洒落たデザイン、ESEE の 方はその洒落気を排除したソツのないデザイン。LION さんの方はこの丸みでもファイアースチールをスパークできるから不思議。


チップ(刃こぼれ)箇所の確認のためにやるペーパーカッティングも両者同じような感じ。LION さんの方はバトンなどでかなり酷使してきたが研ぎ直しもないまま切れ味とタッチは新品の頃のように鋭い。ブレードの硬度は LIONさんの 《Sleipner》の方が高いが、こればかりは高い低いで優劣は決められないのがキレモノの面白さです。ESEE 4のように並の硬度でも非常に鋭い切れ味を保っているのはブレードのデザイン(厚みやシェイプ)によるものではないかと思われます。

シースは LIONさんが革製で雨天などの際には影響を受けます。縫製のほつれや、放っておくとカビが生えるのでそれなりの手入れが必要です。また使い込まれ経年変化による《緩み》も予想されます。ESEE の方は割れない限りは問題ないでしょう。樹脂によっては油に弱いものもありますが、ナイフ自体がステンレス鋼なので殆どオイルレスの扱い、この点も樹脂製シースとのマッチングも問題なしです。

ハンドル材は LIONさんが天然木(オリーブウッド)に対し ESEE 4 が積層の人工素材(マイカルタ)。経年変化や温度湿度の影響を受けるのは LIONさんの方ですが、それも何年使えばこうなるとか、そんなことは予想もつきません。握りやすさは LIONさん。

余談になりましたが、この二本のキレモノはなかなかいい勝負してる。ブレード長はわずかに LION STEEL の方が長く、ブレード厚は ESEE 4 。鋼材の硬さは LION STEEL M5 の方が上だけど、ベベルと呼ばれる研ぎ面は両者ほとんど同じ感じで、切れ味とタッチはとてもよく似ている。ハンドル部分は LION STEELの方が長く握りやすい。重さは鋼材の厚みの分か ESEE 4 の方が重い。デザイン的には ESEE 4 が武骨でカチッとした感じに対して LION STEEL は細かなところまで洒落た造り。どちらもバトンでガシガシ叩かれても平気な顔してババババーン♪(なんのこっちゃ)。
今回ご紹介しました ESEE 4 P SS は今や ESEE の スタンダードナイフとなった ESEE 4 のステンレス鋼バージョンです。他にオレンジG10ハンドルのタイプもあります。手の大きな外国人にはハンドルが短めかな?と思いましたが、そこは流石の ESEE、鋼材の後端まですっぽりと覆うオーバーサイズのハンドルを別売しております。
LION STEEL M5 や ENZO 95 は素晴らしく良く切れるキレモノですが、天然木のハンドル材と革製シースは経年による劣化や緩み、破損の可能性を秘めています。同じ ESEE の IZULA 2 や ONTARIO の RAT-3 はカーボンスチール鋼故のサビ(殆ど影響ないですが、)を意識しなくてはいけません。下手な油を塗布すれば食材などをカットする時に気になるし、、カットしないか? ESEE 4 P SS はそんな小さな心配もいらない総合力とバランスの良さで存在感を発揮しているのです。

ESEE は米国のキレモノメーカー。中でもシースナイフはどれもハードユースに耐えられる質実剛健な造り。さらにその中でも《 ESEE 4 》はサイズやデザイン、総合的なバランス感から ESEE の スタンダードナイフと呼ぶに相応しいモデルです。

一枚ものの鋼材(1095カーボンスチール)をマイカルタ(積層素材)もしくは G10という人工のハンドル素材でサンドイッチしただけの頑強なフルタング構造。フラットな4inch のブレードはドロップポイント(クリップポイントも有り)でブレード厚も十分。1095 カーボンスチール鋼に錆止めと反射防止の分厚いコーティングを施したオリジナルモデル群の他に、そのコーティングを省いた Uncoated model 。ハンドルを握りやすい形状にした The Modified Handle model などがラインアップされています。これらにプレーンエッジと呼ばれる直刃、コンボエッジと呼ばれる半波刃のブレードが加わります。

ESEE の シースナイフといえば 1095という
炭素鋼のブレードが代名詞です。昨今の高級鋼材とは違い硬度は特別お硬いわけではありません。が、刃持ちも良く、シースナイフのハードな使い方として世界中に広まった《バトニング》も苦もなくやってのけます。一方、北欧系のキレモノのように木材に対するスムースなタッチの切れ味ではありませんし、食材を繊細にスライスできるような調理ナイフでもありません。同じ米国製で今や食傷気味なくらいにラインナップを出し続けるメーカーの代名詞であるコンベックスグラインドともタッチが全然違う。しかし、このキレモノはその総合力で存在を確立してきたのだと私は感じています。全体的にソツのない造りで工業製品としてもきちっとした仕上がり具合で均一的。隅々まで綺麗に仕上げられています。そして、特別繊細ではないが切れ味十分にして高い耐久性をもち、ハンドル材も含めて不安感のない完成された製品と言えます。

ESEE の IZULA 2
1095カーボンスチールにコーティング
フルタングとマイカルタハンドル
樹脂製シース

ONTARIO RAT-3
1095カーボンスチールにコーティング
フルタングにマイカルタハンドル
樹脂製シース
この1095という炭素鋼のブレードはそれ自体米国を中心としたいわゆるサバイバルブレードの主役的な鋼材となった感があります。わたしもONTARIO の RAT-3 や ESEE の IZULA 2 といった1095ブレードを持っています。この1095のブレードには通常なんらかのコーティングが施されてあります。それは炭素鋼におけるサビの問題を軽減しある種のナイフにおいては戦場等での光の反射を防ぐ役割もあると言われます。
ちなみに、、、
NSN (National Stock Number)で始まる米国国防省の備品管理番号
NSN 1095-01-649-5945 は ESEE-4P-MB-DT (ESEE 4 1095デザートタン プレーンエッジ MOLLY シース付属)に与えられたものです。

わたし自身この何年かに渡って1095ブレードを使ってきましたが目立ったサビが浮いたこともなく、扱いも特に神経質ではありません。仮にサビが浮いたとしてもそれは表面的なもので鋼材の深くまで浸透しているわけではありません。気づいたら表面に浮いたサビなどは耐水ペーパーか研磨スポンジで軽く擦れば取れますし使用上はなんの問題もありません。

しかしこの数年で ESEE のラインナップに炭素鋼のブレードでありながら、コーティングの施されていないブレードや一部ステンレス鋼のブレードが加わりました。何があるのでしょう?

Uncoated model と呼ばれるコーティングなしのモデルについては、個人的にブレードのシェイプや仕上げを変える(カスタム)時にコーティングを剥がす手間を省くためではないかと、、想像ですがね。ステンレス鋼のモデルはサビの問題(問題じゃないとおもいますが、、)を解決するためかと、、いずれにせよ、要望が多かったのだろうと思われます、、想像ですがね。



ESEE ESEE 4P SS
* Overall Length: 9.0″
* Cutting Edge Length: 4.1″
* Overall Blade Length: 4.5″
* Blade Width: 1.25″
* Weight (Knife Only): 8.0 ounces
* Drop Point Blade Style
* Maximum Thickness: .188″
* 440C (Stainless Steel Models
* Removable Handles
* Rounded Pommel w/ Lanyard Hole
* Molded Sheath w/ Clip Plate (Sheath Color Depends On Model)
* Made in the U.S.A.
昨今の高級鋼材を使ったバラエティー豊かなブレード群の中にあって《440C》というと何か過去の鋼材か本当に目立たぬ存在として隅に追いやられた感さえ受けますが、米国流サバイバルブレードの雄、ESEEがこれを採用したからにはそれなりの訳があるのです、、きっと。

フラットで幅広の440C ブレード。メーカーの付けてきたエッジは非常に鋭利。RAT-3 とはまるで違いました。

ブレードは流石の厚み。

ハンドル材はマイカルタ(積層素材)で割れる心配が殆どありません。汚れがつきやすく水分が染み込みやすい性質です。

シースは樹脂製です。シース自体の弾性でしっかりとホールドされます。これを携行する為の二つのアタッチメントも付属します。

手前から奥に、、
ESEE IZULA 2、ONTARIO RAT-3
ESEE 4 P SS ブレード厚は RAT-3 がやや
薄い程度。

シースは同じようなもんです。

ENZO 95 と並べるとブレードのシェイプが大きく違います。アメリカンなフラットと北欧系のスカンディグラインド。

実際にかまぼこ板程度のヤワな木材を削ってみると、、ESEE 4 の方はジョリジョリっと鋭く削れ、削り面はこの様に荒々しい。

対する ENZO 95 は木材に対するタッチがそのまま反映された様な削り面です。スムースでスイスイと削れ滑らかな木肌になります。ここにブレードシェイプやベベル(研ぎ面)の違いが出ます。しかし、結果はどちらも《非常に良く切れる》です。


こうして並べるとやはりブレードの仕上げ方やハンドル材の違いから ENZO 95 の方が美しく見えますが、、、
実は、そうでもありません。この部分、ブレードからハンドルまでのびる鋼材の背の部分を見ると、ENZO の方は打ち抜きからの仕上げ残しと思われる鋼材のウネリや段差がはっきり分かります。対する ESEE 4 は全体的に均一できちっとした造りです。個体差もあるでしょうが、ESEE の方が工業製品としては均一な精度なのかもしれません。


私がこの ESEE 4P SS (ステンレス鋼)を選んだ(というよりこれを待ち望んでいた)のはキレモノにおけるステンレス鋼の使い勝手の良さを経験してきたからです。雨の日も雪の日も、水場での作業も、水分の多い食材のカットもサビを気にせずに作業できる。ステンレスだからといって絶対錆びないわけではありません。錆びにくいといった方がよく、絶対ではないが環境や条件を選ばず使える鋼材なのです。

この鋭利でツルツルなステンレス鋼の幅広ブレード、そして分厚いフルタングの頑強さを活かしてお約束の《叩き》技。ぶっとい薪もパカーンパカーン!と割れて飛びます。散々割った後でそれらをクルクルカール(フェザースティック)を作ってみても何ら問題なくできてしまいます。自宅に戻ってエッジをチェックしますが変わりなし。もちろん、顕微鏡レベルでは《潰れ》はあるでしょうが、感覚的にはまるで変化ありません。チップ(刃こぼれ)をチェックするために不要レシートをカットスライスしてみますがスイスイと問題なくクリアです。特別硬くもない鋼材でこの結果は、いかにこのキレモノがデザインやサイズを含めて完成度が高いものであるかを物語っているように思います。


デカイ薪から作った叩き棒と叩かれ二人組
ESEE 4 P SS と Queen #4180GMB
年末年始のキャンプでも叩かれまくりました。御二方ともにぶっとい薪を物ともせず割まくりまして候。

LION STEEL M5 と ESEE 4 P SS


ベベル(研ぎ面)もよく似た感じ。ブレードシェイプは異なります。

ブレード厚は ESEE 4 が上

ブレードの背、握った時にちょうど親指がかかる部分。LION STEEL M5 はランプが設けられ全体的に丸みを帯びた洒落たデザイン、ESEE の 方はその洒落気を排除したソツのないデザイン。LION さんの方はこの丸みでもファイアースチールをスパークできるから不思議。


チップ(刃こぼれ)箇所の確認のためにやるペーパーカッティングも両者同じような感じ。LION さんの方はバトンなどでかなり酷使してきたが研ぎ直しもないまま切れ味とタッチは新品の頃のように鋭い。ブレードの硬度は LIONさんの 《Sleipner》の方が高いが、こればかりは高い低いで優劣は決められないのがキレモノの面白さです。ESEE 4のように並の硬度でも非常に鋭い切れ味を保っているのはブレードのデザイン(厚みやシェイプ)によるものではないかと思われます。

シースは LIONさんが革製で雨天などの際には影響を受けます。縫製のほつれや、放っておくとカビが生えるのでそれなりの手入れが必要です。また使い込まれ経年変化による《緩み》も予想されます。ESEE の方は割れない限りは問題ないでしょう。樹脂によっては油に弱いものもありますが、ナイフ自体がステンレス鋼なので殆どオイルレスの扱い、この点も樹脂製シースとのマッチングも問題なしです。

ハンドル材は LIONさんが天然木(オリーブウッド)に対し ESEE 4 が積層の人工素材(マイカルタ)。経年変化や温度湿度の影響を受けるのは LIONさんの方ですが、それも何年使えばこうなるとか、そんなことは予想もつきません。握りやすさは LIONさん。

余談になりましたが、この二本のキレモノはなかなかいい勝負してる。ブレード長はわずかに LION STEEL の方が長く、ブレード厚は ESEE 4 。鋼材の硬さは LION STEEL M5 の方が上だけど、ベベルと呼ばれる研ぎ面は両者ほとんど同じ感じで、切れ味とタッチはとてもよく似ている。ハンドル部分は LION STEELの方が長く握りやすい。重さは鋼材の厚みの分か ESEE 4 の方が重い。デザイン的には ESEE 4 が武骨でカチッとした感じに対して LION STEEL は細かなところまで洒落た造り。どちらもバトンでガシガシ叩かれても平気な顔してババババーン♪(なんのこっちゃ)。
今回ご紹介しました ESEE 4 P SS は今や ESEE の スタンダードナイフとなった ESEE 4 のステンレス鋼バージョンです。他にオレンジG10ハンドルのタイプもあります。手の大きな外国人にはハンドルが短めかな?と思いましたが、そこは流石の ESEE、鋼材の後端まですっぽりと覆うオーバーサイズのハンドルを別売しております。
LION STEEL M5 や ENZO 95 は素晴らしく良く切れるキレモノですが、天然木のハンドル材と革製シースは経年による劣化や緩み、破損の可能性を秘めています。同じ ESEE の IZULA 2 や ONTARIO の RAT-3 はカーボンスチール鋼故のサビ(殆ど影響ないですが、)を意識しなくてはいけません。下手な油を塗布すれば食材などをカットする時に気になるし、、カットしないか? ESEE 4 P SS はそんな小さな心配もいらない総合力とバランスの良さで存在感を発揮しているのです。


ESEE 4P SS(上)と lLonsteel M5(下)
雰囲気は多少違うが実のところ似た者同士の二つのキレモノ。方や米国生まれの米国育ちでハードユース前提で造られ、ある意味完成されたトータルバランス。方やイタリア生まれの洒落者だが硬い鋼材を身にまとったタフさが意外性を感じてしまう。どちらもキャンプでは《叩き》にかけられ、ぶっとい薪や廃材を割る作業に従事した。

ESEE 4
このようにベベルを見てみると、、キラリと光る小さな点が見える。とても細かいが、いわゆる《潰れ》、欠けてはいないので《チップ》ではない。この状態で薄い紙をスライスしてみても引っ掛かる感触は全くなく、すぅーと薄い紙を薄切りできる。

こちら Lionsteel M5
こちらも何箇所か光の乱反射が確認できる。これも《潰れ》または《傷》である。こちらもまた薄紙をスライスすると抵抗なくスラスラと細切りできる。
これ以上、繊細な刃つけにしてしまうと、、《チップ》してしまうだろうね、、。何事もほどほどがよろしい。

ESEE 4 用に販売されているエクステンデッド G 10 ハンドル。これ、ランヤードホールを含めたハンドルエンドをすっぽり覆う延長ハンドルです。これで微妙に足りなかったグリップ長が解決されそうです。

ピタ、コンコン、

ガツガツ!

メリメリ〜

相変わらずコキ使われておりますなぁ〜、

440C のブレードに小さな兄弟がやって参りました。お隣は 1095カーボンスチールの IZULA 2、そして、440C 版の
IZULA です。皆さん、よ〜ぅ切れまっせ〜。


2021/04/07
キャンプで薪を叩き割りしてくれたご両人。どちらも ESEE 、どちらも 440C 。別に今どきの粉末冶金鋼材でなくもガシガシ使えて刃持ちはいまだレイザーシャープ。あんだけ叩かれて、この切れ味はどないなってまんの?