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2017年05月12日

あの日のシンプル・オートキャンプ



自分は何故あの時のキャンプに惹かれるのか?




2013年5月3日
GWの真っ只中、私と妻は熊本県下益城郡美里町に点在する江戸時代からの古き石橋群を訪ね歩いていた。昨年の大きな地震で一部倒壊または倒壊してしまった古き石橋群もその頃はまだ趣のある美しい姿を溢れんばかりの新緑の風景の中に際立たせていた。一通り石橋群を周り私たちはGWの最中でやや込み入った感のあるオートキャンプ場に車を滑り込ませた。本当は車中泊をするつもりだったのだが良い場所が見つからず思い切って当日飛び込みで電話を掛けたオートキャンプ場に空きがあったのだ。バンガローやロッジはすでに埋まっており、私たちは草地の区画に車を停めて初のオートキャンプを決め込んだ。



周囲を見回すと、、2ルーム・リビング型の大きなファミリーテントばかり。スノーピークの焚き火台を据えて干しカゴをぶら下げコールマンのガソリンランタンが夜の出番を待ち構えている、ふとお隣を見ると簡単なスクリーンタープと小さなテントを接続した母子キャンプ。そしてウチは、、
設営はテントのみ!それもモンベルのムーンライト、しかも1型!(完全お一人様用ソロテント)。テーブルはキャンプ場で有料で借りた。中に畳んだ椅子とベンチが入っているごく普通のやつ。
椅子だけは今でも使っているキャンパーズコレクションのリクライニングチェアーを二脚持っていっており、他にはタープも焚き火台もウッドストーブの類も無し!




熱源は目的地や自宅までの移動途中に休憩地でお湯を沸かすためのシングルバーナー(MSRのPocket Rocket)、そして予備に持って行ったガソリンストーブ(MSRのウイスパーライトINL)、それに Trangia のストームクッカーだけである。



今では当たり前のタープも昼からガンガン焚きの焚き火台やグリルストーブも小さなウッドストーブもスキレットも吊り下げ鍋も無かった頃。さぞかしチープなキャンプになったことだろうと思いきや、これが意外と充実したキャンプになりました。

着いてすぐに借り物のテーブルセットを展開して
サイトの隅っこにサナギの様なムーンライト1型を設営。これがほんの数分で終了。タープがないのでリクライニングチェアーの頭の部分にウレタンマットを屏風の様に立てて日差しを遮る奥さん。
深めの洗濯カゴに入れた調理用品や食材。
明るいうちに近くのダム湖やレンゲ咲く草原の散歩。帰って夕方から明日の朝飯まで考え地産の野菜根菜を使った豚汁をストームクッカーで作り置く。お湯はストームクッカーとユニの焼き網を組み合わせてソロ用クッカーで沸かした。ステンレス製のタフ五徳とウイスパーライトINL、バーナーパットを組み合わせてホイル焼きなどをした。



夜になると周りのサイトはコールマンのガソリンランタンが煌々と輝き、スノーピークの焚き火台が赤々と炎を上げ始めた。BBQや焼き物のにおいが漂い出し子供たちは大喜びだ。ウチは木の間に張ったラインにUCOのキャンドルランタン、テーブルの上には小さなLEDランタンが小さな明かりを落としているだけ。他のサイトに比べ焚き火もなく暗いサイトだったが何故だかそんな自分たちのサイトが笑えて楽しかった。





夜はムーンライト1型に押し寿司のごとく押し固められる様に二人眠った。どちらかが寝返りを打つとどちらかが広くなる。その繰り返しで明け方まで眠った。外からは焚き火の爆ぜる音と子供たちの声、酒宴の賑わいが聞こえた。



翌朝、昨日の豚汁をストームクッカーで温め直し、厚切りベーコンと卵、サラダで朝飯とした。
ふと隣の母子キャンプを見ると小学生くらいの男の子が泣きそうな顔で何かやっている。マッチを擦っては涙を拭ってる。よく見ると山盛りの炭にマッチで火をつけようとしていた。見兼ねて少年に声をかけ手伝ってやることに。少年はチューブ式の着火剤をほぼ使い果たしていた。朝早く起きてひとりで炭を起こすつもりだったのだろう。



私は自分たちのサイトで焼き物に使っていたウイスパーライトINLを燃焼させた状態で隣のサイトに
移動した。そしてタフ五徳の上に大きな炭を並べ下からウイスパーライトINLの最大火力で一気に焼いた。熾た炭をBBQグリルに戻してやり団扇の代わりになる厚紙をうちのサイトから持ってきて扇ぎ方と炭のいじり方を少年に教えてやった。しばらくしてお母さんが起きてきた。焼き物のにおいが隣からも漂ってきた。



うちの撤収は実に速かった。
テントはポールからキャノピーを外すだけだからフライやペグ抜きまでやっても数分で終わる。UCOのキャンドルランタンを吹き消しテントとフライ、シュラフを張ったラインに並べて干して残りは車にホイホイと積み込む。今とは比べものにならない道具の量だ。



撤収もごく短時間で終わり、だから時間をたっぷり使えた。そうやって美里ガーデンプレイス家族村を後にして福岡への帰路で私たちは水辺の公園でひと休み。そこは美里町へ行く途中で見かけチェックしておいた場所だった。甲佐町の有名な《やな場》その周囲に整備された涼しげな公園(?)だ。そこでストームクッカーとシングルバーナーで簡単な昼飯を作りのんびり食って水辺の涼を味わった。公園にいくつかあるテーブルはBBQが出来るようグリルテーブルの様な作りになっていた。新緑と風と水路、その美しい空間で短いひと時を過ごして帰った。

このキャンプから帰った後にウチの奥さんが焚き火がしたいと言い出す。タープも欲しいと。

そして、、
今は焚き火依存症の私たちはあの頃の軽快さを忘れて非活動的なキャンプにどっぷり浸かっている。あの日のシンプルキャンプには戻れないかもしれないが、、やってみよう。

  


Posted by ponio at 21:28Comments(0)熱源camp道具たち変化