俺たちゃ時代遅れなのか
「俺たちゃ時代おくれなのか?」と道具箱で冷たく眠るキレモノたちに柔らかな冬の陽射しを浴びせてあげる。今日はそんな日。ついでに『ピカール』で磨いてあげる。
CASE P10051L パッカーとはバックパッキングを共に楽しんだ間柄。90年代の米国製らしい粗雑さとスタイリングの良さが入り混じっている。
手前から CASE P10051L 、真ん中が GERBER FS Ⅱ、一番奥が Kershaw 1056。どれも磨けば光るブラスのハンドルやボルスターで身を固めている。ブレードは FS-Ⅱ を除けばよくあるステンレス鋼。彼らが店頭に並んでいたのは現代のようなスーパースチールが一般的ではなかった時代だからね。
ズシリと重い質感は手にした瞬間なぜか安心するんよね。手に馴染むというのかね。そのかわりポケットなんかに入れると重くてゴロゴロして何とも落ち着かない。これらを身につけるにはシース(鞘)が一番なのだ。ロックはどれもオーソドックスなバックロック。
kershaw 1056 の美しさは何といってもこのハンドル部。ブラスのボルスターとベークライトのハンドル材が見事に波長を合わせてうねっている。手にすると「これしかねぇべ!」というくらいにフィットする。重く固く使い良さは微塵も感じないが手離せない一本になっている。
思わず「カッコいい〜!」と言ってしまうイケメン。古き良き時代の GERBER の面影を残した一本。これも90年代の米国らしく作りは粗雑でブレードにも左右にガタがある。切れ味は素晴らしい。
コンパクトでバランスのとれたスタイリングの CASE のパッカーは数ある CASE のフォールダーの中ではどちらかといえば地味〜なモデル。現在は廃盤。これもブレードに左右のガタあり。ホローグラインドのブレードは良く切れるが刃持ちは特別良くはない。
「俺たちゃ時代おくれなのか?」と彼らに問われたら「君らは君らでいい」と答えてあげよう(その前に病院いけ!)。
追記
GERBER の FS Ⅱ はいつもメシを食う南向きのキャンプテーブルに常駐することになりました(その後キッチンの棚に異動、そのブレードレングスを活かして食材のカットという意外な職に就きました)。CASE P10051L は同社の COPPER LOCK と一緒にコーヒー豆の封切りに従事することになりました。
プラスではなくニッケルボルスター組の面々は言う、「美しければ生き残れるわよ」と。チっ!
あたしゃフォルムだけで生き残る!
関連記事