MOKI のナイフ
こんにちは、ponioでございます。
今回はキレモノ第4弾で初の日本製品です。
お好きな方だけ読んでおくんなはれ〜。
【 MOKI 】は日本のナイフメーカーであります。MOKI(モキ)とは前社長である桜井茂貴氏にちなむものとか。
モキのナイフは日本人らしい(固定概念的だけど)精密さとマスプロながら高い品質を誇る国産のキレモノです。
これは15〜6年ほど前に買ってからずっと使い続けているモキのナイフです。モキのナイフは一言でいうとまさに日本品質といったところでしょうか。キチンと造られ美しく精密でよく切れる。上のナイフはトラッドクラブというモデルで現在ではカタログ落ちしております。もうずいぶん使い込んだのにホントにお美しいお姿。
ブレードは美しいミラーフィニッシュで鋼材は当時大流行りだったATS-34というもの。関市のある刃物卸し業者の人がモキのATSが一番よく切れると仰っていたのを思い出します。確かによく切れます。
ハンドルは牛などの骨に機械加工で溝彫りをしたジグドボーンと呼ばれるもの。後端のホール辺りに薄っすらとヒビが入っておりますが割れるところまではいきません。今なお美しく滑らかな艶を放っております。ロックはオーソドックスなバックロック式でスプリングから内部まで隙なくピッカピカの仕上げです。ブレードを起こすとロックが掛かりますが、その瞬間の音色が実に美しく思わず何度も繰り返し聴いてしまうほど。部品どうしの合わせ目もこれでもかと言うほどピチッと合っております。
さてこのトラッドクラブに限らずモキのナイフにはどこかバブルの香りが漂っていると感じることがあります。バブルの香りとは、あの頃、つまり日本全体がバブル景気にわいていた時代のこと、私の周りでも皆それぞれに其れなりの物を身につけ、着る必要もないブランド物のスーツを着こなしていた時代。そんな時代に触るのも躊躇うほどにピッカピカの仕上げと装飾美で時計のごとくショーケースに飾られていたのがモキのナイフでした。
モキが装飾美術のような高価なナイフを次々と発表していた頃、前回ご紹介したアメリカの CASEナイフなどは実に雑な造りで当時の煌びやかで華やかでギラギラしたモノに目の眩んだ日本人には色褪せた存在感でありました。しかし、時代は変わりました。
王道ビクトリノックスと
90年代を共に生きた GERBER と
今なお第一線で活躍し続ける日本製 Spyderco と
今の私にはあのモキの放っていた高価な輝きや華やかさは必要ありません。と言うと語弊があるかもしれませんね。つまりは、ナイフは日用品である、日常使いの道具であり、日々磨き眺めて飾る物ではない、少なくとも私にとっては。だから、今の私はモキの高価なナイフより90年代よりははるかに良い出来でありながら買い求めやすい CASE や GERBER や Spyderco のナイフの方が合っているのです。お金がたくさんあったら?それでも今の私ならモキよりCASEのナイフでしょうね。品質は劣ってもけっして100均のそれではない。十分に使えてナイフ本来の様々な目的に合わせた品選びが出来る、そして日用品らしい価格。ここなのです。
でもね、大切に使っていますよ。私の持っているモキのナイフはどちらかと言えば昔ながらのデザインです。アバロンや白蝶貝が埋め込まれた装飾品的なナイフとは違います。価格は当時でもCASEナイフの倍以上でしたが15〜6年経った今でも気持ちよくブレードを開き、よく切れ、気持ちよく畳める。L.L.beanのパーカーのポケットに放り込んで朝の森を散歩。そんなのが似合う。セガールが持つのも、バトニングするのも、ちょっと違う。今はなきバブルの輝きとあの頃の造りの良さを噛みしめよう。
ponio
しばらく仕事用の道具入れに入れっ放しだったので
WENGER のソルジャーと交代させた。相変わらず小気味好い作動感である。ATS-34のブレードは8:2(右:左)の割合で研ぎ直してある。切れ味はとってもスムース。また少し手元に置いて使ってあげよう。
2021/06/22
久しく第一線を離れ隠居状態だった MOKI さんが今は家用の UNIQLOパンツの右ポケットに収まっている。Spyderco でも GERBER でもなく何故か今は MOKI なのだ。日常使いとして何の不自由も感じられずこれぞポケットナイフと呼ぶにふさわしい。
あなたにおススメの記事
関連記事