使ってみなけりゃわからない ストームブレイカー編

ponio

2019年01月09日 17:01

使ってみなけりゃわからない

SOTO SOD-372 の巻


SOTO SOD-372 ストームブレイカーは
昨年世に出たばかりの最新式のストーブです。既にお持ちの方も多くいらっしゃるでしょう。





ガスとガソリンの二系統を簡単な接続だけで切り替えられる国産のストーブ、耐風性能、凝りに凝ったガソリン用のスマートポンプ、プレヒート(予熱)要らずの簡単点火、液出しで冷えに強いガスモード、、と目を惹く機能がてんこ盛り。レビューを読んでもそう悪いことは書かれておりません。

さて、今回これを極寒の年越しキャンプにおける湯沸かし担当に任命。頑張ってもらいました、、が、これがなかやか苦労しました〜。いやはや、やっぱり道具てぇーのは現場で使ってみなけりゃわからないものです。



年越しキャンプ道具選考委員会(アタシひとり)の肝いりで投入された SOD-372。Trangia のストームクッカーや MSR のガソリンストーブをおさえて実戦投入されたからにはよほどのジツリキ(実力)があるか、裏で誰か動いたか、、(ぜんぶアタシです)。
いずれにせよ、わたしの中では全く全然、これっぽっちの実績がないこのストーブを他のストーブを持たずに、ぶっつけ本番に持ち出すこと自体かなりの勇気が必要でした。



みなさんもやったでしょ?
まずはガスモードでのテスト。これ自宅でも簡単。なんのコツも要らずカチャカチャ、パチッと組み立て接続してやるだけでなんの問題もなく快適燃焼。ここまでは実際に確認していきましたが、、、。




問題はこちらでした、、。ガソリンモード。
今回はコールマンのエコクリーン(ホワイトガソリン)があったためそれを燃料としました。さあ、いきなりの湯沸かし、いきまっせー!、、とここまではよかったのですが。


新富士バーナーが開発したこのスマートポンプはダイヤル操作という新しい使い方を搭載しています。機能表示もきちっとされており日本製らしい卒のなさです。ただ、ここに一つの落とし穴が隠れています。



たしかに、このダイヤルを押したり引いたり回すことで点火から燃焼、火力調整、消火、緊急停止など機能の切り替えができるわけですが、、実際には100%確実にその機能が切り替わるわけではありません。特に、点火プロセスにおいては、《慣れ》と《状況判断》が必要なようです。

最初の 《 ? 》は START から RUN への切り替えタイミングでした。日差しのある日中の屋外では赤火も青火も判別つきませんでして、、もうよかろう的判断で RUN に切り替えたところ赤火ボォー、、でやり直し。このあたりまでは、ふむふむと納得。再点火は問題なく行われ次から次へと湯を沸かしては保温ボトルにストック。1Lのソースパンで5杯分を立て続けに沸かし切って消火。手順も RUN から火力調整を経て AIR そして時間をおいて STOP そして、LOCK とマニュアル通りの扱いをしました。


消火後すぐに奥さんから黒豆の鍋(4qt)を煮立ててと言われ『早く言ってよー』とガスモードに切り替え問題なく煮立て終了。




このあたりは、MSR などのガソリンストーブの扱いやすさを感じますね。MSR のガソリンストーブは消火時にボトル内の圧がキープされているので、一旦火を消しても再点火にポンピングは必要なし。プレヒートして再点火も慣れてしまえばストレスなくできます。SOD-372 の場合は一度の消火でボトルの圧が抜けてしまうので再度ポンピングが必要になります。この様に点火と消火を繰り返す状況の時はガソリンからガスへのモード切り替えをするのがスマートですね。



そして、ついにやってまいりました!
トラブルタイム!

ガソリンモード
燃料適量
ポンピングはレッドのラインまで
操作はマニュアル通り

これで点火しようとしました、、が、
START と同時にエアーの抜ける音がします。しかし次に聴こえるはずのジュルジュルという燃料と空気の混合音、、がしません。ライターはバーナーヘッドのすぐ上で点火して待機状態です。

あまりに点火しないのでライターの火を引っ込めてバーナーヘッドを見るとジワジワと液体が広がっていきます。間違いなく燃料です。試しにライターを近づけると、、ボッ!と赤い炎に包まれました。最初の炎上です。しかし、慌てずフッ!と息をかけて炎を消し本体を持ち上げると、、ポタポタと燃料が滴りおちます。フューエルラインを外してそのまましばらく放置。

時間おいてガスモードに切り替え再点火。この時点でフューエルラインに多少の燃料が残っていたと思われます。予想通り点火と同時に赤火があがり、直ぐにきれいな青火に。燃焼は問題なく1Lの水を沸かして消火。直ぐに圧の残ったままのフューエルボトルに接続、再点火してみます。ガスモードで5分以上燃焼させた後でしたので START と同時に即青火燃焼、RUN に切り替え5Lの水を沸かし切りました。


さて、お次のトラブルは、、ガスモードです。これまでなんのトラブルもなく快適に使えていたガスモードに異変が、、。冷え込みがかなりきつくなった12/31の深夜、明日の朝に使うお湯を沸かそうと5本の保温ボトルを用意して湯沸かし開始。しかし、まるでお湯が沸きません。湯気は上がるのですが沸騰に至らず。


気がつくとこの状態です。赤火。ガスモードです。これは、、燃焼はしていますが、かなり弱い状態です。結局、ここでガスモードを中止してガソリンモードに。こちらは打って変わって絶好調。ガス燃焼の後なのでジェネレーターが加熱されており START 時から青火の快適燃焼。1Lソースパン5杯分のお湯を沸かし切って消火しました。


お次は、、やはりガソリンモードのトラブルです。冷え切った早朝にポンピングから始めて点火しようとしましたが、、前回のトラブル同様にエアーの抜ける音のみで点火しません。そこで、本体下部にライターを近づけると、、ポッと赤火が灯りました。これも息をひと吹して消しダイヤルを AIR から STOPに切り替え終了。もう一度、ポンピングし直して同じ手順で点火してみます。やはりエアーの抜ける音のあとでも点火しません。フィルター等の詰まりを考えてみましたが思い当たらず、ここでガスモードに切り替え燃焼させてみました。問題なし。昨夜の赤火とはちがう美しい青火です。ただ、、火力が少し弱いと感じましたので、念のためOD缶を両手で覆うと火力が徐々に上がることが確認できました。液出しで燃焼できるとはいえ、やはりボンベがここまで冷えると液化ガスを押し出す力も弱めるのでしょうね。このあと、再びガソリンモードで燃焼を試みます。全く問題なし。????

それから何度かガス、ガソリンの各モードで点火してみましたがトラブルはありませんでした。自宅に戻ってから数日して天気の良い日にこのストーブを持ち出し点火してみます。モードはガソリンです。



結果は、問題なし。点火も燃焼も問題ありません。操作法は同じです。ただ、一点!


燃料は1/3、ポンピングはこの程度(約100回)、インジケーターの赤いラインが見えるところまではやらずに、接続点火。これで問題なしです。

ガソリンモードでのトラブルについて考えてみました。最初の炎上はエアー音のみで点火せず、やがて燃料が染み出してくるというものでした。原因はと考えました。燃料の入れ過ぎ? たしかにボトルに示された満タンのラインに対しては目見当ですので、原因としてはあり得る部分です。が、もちろん、ちゃんと意識してやったつもりです。次に、ボトルの置かれた状況です。傾斜がきつくなかったか?向きは?これに関しては全く問題なかったと思います。ポンピングも赤のラインを守りました。

自宅に帰ってから改めて説明書をくまなく読んでみると、、

状況(外気温)によっては燃料が出にくくなる(*1)、ポンピングは必ずしも赤のラインまで必要ない(*2)など、使ってみなければわからない部分が含まれていました。これから考えると、ガソリンモードでのトラブルは低温下での使用が原因とも考えられますが、それなら雪中で使用している方はどうなるのでしょう?

*1 マニュアル13頁 故障・異常の見分け方と処置方法【ガソリン使用の場合】燃料が出ない、点火しない、しにくい: 外気温が低い 氷点下

*2 給油量が少ない場合に限り、赤いラインが見えるまでポンピングしなくても、安全にスタートさせることができます。これによりスタート時のポンピング回数を減らすことができ、また赤い大きな炎((生火)の発生も抑えることができます。


また、スマートポンプに設けられた目玉の一つ、《圧力インジケーター》は過剰な圧力を防止する目安となるものであり、内圧に応じて稼働する圧力計と同じような稼働はしません。とあります。つまり、この一見便利に思えるインジケーターはそれ自体を点火可能かどうかの目安にしなくてもよい、ということです。


まあ、このあたりはもう少し様々な環境下で使い込んでみて判断いたしましょう。

使ってみて実感したこと・・・

❶ このストーブで毎回確実に同じ結果を出すには《慣れ 》と季節によっては外気温などの使用条件を含めた《状況判断》が必要。
❷ 圧力インジケーターは何が何でも赤いラインまでポンピングする必要はない。
❸ ガソリンモードが不調の時でも接続だけでガスモードに切り替え使用できることは素晴らしい。
❹ ガスモードは簡単な操作で行えるが、これも外気温を意識したほうが良い。液出しといえど低温下(氷点下に近い)では火力が安定しない。
❺ ガソリンモードの点火時にダイヤルを START へ回しても点火しない時がある。または、点火まで時間がかかることがある。
❻ ガソリンモードでなかなか点火しない時は本体に燃料がしみ出ていないか確認した方が良い。そのまま点火すると炎上の可能性がある。
❼ ガスモードで燃焼させた直後のガソリンモードは立ち上がりが早い。
❽ 消火時に AIR から STOP へのダイヤル回しは少し時間を置いてからの方が良い。

と言ったところだが、、やや辛口かな?
最初に書きましたが、、このストーブはわたしの中では全く実績のない新参者です。これから様々なトラブルや《 ? 》を経てコツを掴み成功の確率を上げなくていかなくてはなりません。


長年使い慣れた MSR のガソリンストーブも同じでした。
今では当たり前のように点火して安定燃焼させて、消火できる、操作は単純で間違いが少ない。神経質なところがないとも言えます。このあたりは、MSR が世界中で様々なユーザーに使われ実戦経験と実績を積み重ねたことによって完成した製品となったとも言えます。SOD-372 は何もかもがこれからです。暖かい時期に発売された製品は寒冷な季節を経験しなければなりません。私のようなトラブルを経験するユーザーもいることでしょう。様々な人たちの手にあって、様々な使われ方をされて成功と失敗を繰り返して実績となるのです。もし、10年後にこの SOD-372 が今のままの姿であった場合、それは完成させていると考えてよいでしょうね。SVEA 123R や MSR のようにこの先何十年もこの姿のままで残ってもらいたいストーブです。

ponio でした。





そうそう、SOD-372 は SOTO SOD-310 同様すり鉢型バーナーヘッドで風に強いというのが一般的な評価でありますが、、なにか強風も物ともしない、ウインドスクリーンなどは必要なし!と思われるのでしたら大間違い。やはり風は防いでやるべきです。炎は流れる、お湯も沸きにくく燃料は消費の一途を辿る。私はこんなやり方しましたよ。付属のアルミ製バーナーベースを半分に折って両端をゴトクに巻き付けるように折って風上側のみをカバーします。これで十分でした。






燃料半分以下、ポンピング50回、圧力インジケーターは殆ど動かず、これで点火。START からムムム、、と我慢するくらい待って点火した。赤火から青火への移行はやや時間がかかった。青火燃焼(RUN)になってから追加で10回ほどポンピング。問題なく燃焼。2019.jan.11


ガスモードは相変わらず調子いい。OD缶反転させて液出し状態にすると、ちょっと燃焼に乱れが出るけど、、ね。

追記 2019.02.02
[


ガスモードでバルブ全開、OD缶反転後、燃焼にバタつきあり。しかし点火から数分で燃焼が滑らかな感じになり、バタつきがおさまる。その後、一旦消火して、直ぐに用意しておいたホワイトガソリン入りのフューエルボトルに接続し直し点火。ポンピングは85回でインジケーターは軽く飛び出す程度。ガスモード燃焼でジェネレーターが熱々だったので即青火燃焼。どうやら寒い時期はこのやり方が一番スムースに早く点火、安定燃焼に移行するようだね。ガスがもったいない?そこは、、CB缶から再充填したものを使うのでコストは高くない。もちろん、ガスモードで運転している時も湯沸かしなど何かしらやってるから無駄にはならないのです。












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