CASE のワークナイフ

ponio

2017年01月17日 22:19



こんにちは、ponioでございます。

今回は日常から仕事まで幅広く使われてきた一本の
《ワークナイフ》をご紹介いたします。例によってお好きな方だけコッソリ覗いてみてチョーよ。



CASE #T.B.6339 SOWBELLY SS

海の向こうのアメリカの古き良きナイフメーカーである
CASE 社 のワークナイフ【SOWBELLY】です。
ブレードに刻まれたCASE パターンは《T.B 6339 SS》で、最初の数字はハンドルの素材を表し6はボーン(ゼブ牛の脛骨)、次の数字3はブレードの枚数、残る二桁の数字はCASE社のナイフのパターン(グループ)を表します。39はSOWBELLY。末尾のSS は鋼材で、SSはステンレス鋼を表しています。尚、最初のアルファベット《T.B》はカスタムナイフメーカーとして有名な Tony Bose のイニシャル。CASE社のナイフの中には Tony Bose 氏のデザインやプロデュースの製品がいくつかあります。



*CASE 社のタングスタンプ検索より
2011年製であることがわかります。


sowbellyの意は(豚のバラ肉の塩漬け:ベーコン)、これは多分ナイフを畳んだ時の形が塩漬けした豚のバラ肉の断面に似ているから?なんて勝手に納得しております。違ってたらメンゴ。


ブレードは3枚、メインのクリップポイント、そしてシープフットと呼ばれる日本の切り出しみたいなブレード、そしてスペイと呼ばれる変わった形状のブレードの3枚。


クリップポイントはオールマイティな作業ブレードです。使いやすく《切る》作業全般に使えます。


シープフットはカッターナイフの様な先端を活かした作業に向いているとされ、パイプのメンテナンスにも使われたとか、、実際にはポイント(先端部)は言うほど鋭くはなく新品の状態でもカッターナイフの様な使い方は難しかったです。ただ、その後の研ぎ方によってはポイントをかなり鋭利に仕上げられるのでブレードを立ててポイントを活かした作業にも使えます。


スペイブレードは同社の TRAPPERではかなりの長さがありますが、sowbellyのスペイはとても短いブレードです。先端は刺せと言われても刺さらないほどに丸く、その形状から医療用のメスの様な使われ方をした様です。牛の去勢などにも使われ、その際には必要以外の部位まで傷をつけない様にこの様な形状をしているとか。本当か嘘かわかりまへんが。

*このワークナイフの良さは何と言っても3枚のブレードにあります。何をどの作業に使うかと言うよりも、一枚の切れ味が落ちたら別のブレードを使える、つまり予備のブレードとしての役目が大きいですね。


ある仕事で障子貼りを頼まれた際に糊をつけて貼り付けた障子紙を桟に合わせて切り取るという作業がありました。その際に木の桟を傷つけずに薄い障子紙だけを切るのを SOWBELLY のスペイブレードがやってくれました。丸く薄い先端部で木目に沿って切り取っていく。実に助かりました。


ある仕事では鉢植えの植え替えを頼まれ、その際には土を抱きかかえてびっしりと生えた根を切るのにシープフットを使いました。


毎年恒例の春のヨモギ摘みでは SOWBELLY のクリップポイントやシープフットのブレードが役に立ちます。


Spyderco のようなポケットクリップが付けられていないSOWBELLY を持ち出す時はレザーシースに入れて携行します。このレザーシースはオーダーメイドでリック・ガルシア作。


このワークナイフは今流のナイフではありません。
サムホールやフリッパーで片手でポンとブレードが出せるわけでも、ポケットクリップで簡単に携行できるわけでも、粉末合金のように硬度が高いわけでも刃持ちが素晴らしいわけでもありません。ブレードを起こす時には両手が必要ですし、スリップジョイントなのでロックも無し、ブレードは良く切れますが刃持ちよりは研ぎやすさ重視です。北欧系のナイフみたいにウッドクラフトが得意でもなく、かと言ってブッシュクラフトに使えない事はなく、どちらかと言えば日常生活の中でで考えられる様々な《切る》《削る》などの作業にオールマイティで活躍できるナイフなのです。


わたしはこのナイフを2011年頃からずっと仕事に日常に使ってきました。使用頻度はかなり高く今では見事に傷だらけです。でもね、これお気に入りなのです。本当はキャンプでもこれ一本あれば殆どの切る作業は出来るのです。


好きだから長く使える。
好きだから愛着が湧く。
たとえ傷だらけになってもそれは変わらない。
Spyderco も Kershaw もカッコいい。
ワンハンドでサッとブレードを起こせてサッとたためる。ポケットクリップは使いやすく鋼材だって色々選べる。確かに今流のナイフは便利だ。でもね、、飽きるんだな、、そんな時にふと手にしたくなるのが CASE みたいなオールドスタイルのワークナイフ、日用品的なキレモノなのだ。

ponioでした。
2017.01.19 追記


二本のナイフを仕事で使いました。
あるお宅で介護用ベッドを入れる為に約10年間敷きっ放しだった夏用のゴザを剥ぎ取る。福祉用具の業者さんと共に動かせる家具は動かすが、ゴザの一部はタンスや人形などが飾られた棚の下にあった。そこで依頼人のおばあちゃんから『切って下さい』との指示があり、わたしがそれをやった。


SOWBELLY のシープフットブレードを起こして家具に沿ってフェルト張りの夏ゴザを切っていく。一度切れ目を入れては二度目三度目で切り進み部屋の隅まで敷かれたゴザを切り取った。次は剥がしたゴザを外に持ち出し市指定の45Lのゴミ袋に詰め込むのだが、そのままでは入らないので今度は ビクトリノックスの スイスツール・スピリットのコンボ(直刃と波刃)ブレードを開いてゴザを三等分に切り分ける。古いゴザの処理が終わると次に新しいカーペットを敷くのだがここでも家具を持ち上げるのは無理と判断し同じ様に切り揃えることに。


今度は再び SOWBELLY を取り出してスペイプレードを開きカーペットの裏面から(表は起毛していて切りにくい為)切れ目を入れては二度目で切り進むやり方で家具をかわして敷き詰める。そんな仕事を終えて一旦帰宅、セラミックシャープナーと耐水ペーパーでサッとタッチアップ、それらを持って次の仕事に出掛けるアタシです。













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