ESEE IZULA /440C Stainless Model
with ESEE G10 option handle
今回の主役 IZULA 440C にいく前に、、IZULA 2 について簡単に書いておきます。アタシは このIZULA 2 を数年前から使っています。当時、自分的には IZULA よりハンドル長が長く実用的な IZULA 2 の方が魅力的な存在でした。遡ること10年ほど前に海外から取り寄せた ONTARIO 社の RAT-3 のイメージそのままに手にした ESEE IZULA 2 は同じ鋼材(1095カーボンスチール)でありながら箱出しの状態からキリッとエッジの立った切れ味鋭いキレモノでした。どちらも大量生産品でありながらファクトリーによる刃付けの差は明確でした。
『これくらいは普通なんと違う?』と思いきや、10年前に買った ONTARIO の RAT-3 は『なんやコレ!』言うくらい酷いファクトリーエッジの状態でした。その後、仕事にキャンプに使いながら研ぎ直し現在は納得いく切れ味となっていますが。IZULA 2 はそんな RAT-3 のイメージを払拭するタッチでした。
さて、今回の主役 IZULA 440C のファクトリーエッジは数年前に購入した IZULA 2 よりも格段に鋭く仕上げられていました。RAT-3 や IZULA 2 もそうでしたが自分自身納得のゆくタッチ(切れ味)になるまで研いで今がある様にこの IZULA もまた購入早々に研ぎ直すつもりでいました。が、、未だその研ぎ直しはされていません。それはこの鋭いタッチが変化することへの不安からです。
IZULA 440C より早くに手に入れていた同社の ESEE 4 Stainless(440C)もそうでした。ゾッとするほどエッジが鋭いのです。この手のアメリカンナイフ然とした従来の代物とは違うキリッとしたエッジの立ち様なのです。こちらも未だ研ぎ直しはなし。
ステンレス鋼ならではの手入れの楽さは柑橘類を切った時にも感じられます。錆や変色は一切ありません。勿論、使った後はちゃんと拭き取りはしていますが。
柔らかな食材を切っても、
岩のように硬い近所のスーパーのフライドチキンを切っても、
ススキの硬い茎を切っても、なんの問題もなくスパッとカット。
最近のキャンプブレードはこの2本で固定されています。使う使わないに限らずこの2本があれば大体のことはできます。
一枚物の造りの頑強さと、携行性の良さ、扱いやすいサイズ、切れ味、手入れの楽な鋼材、これらに見合う作業範囲を超えなければ良いのです。
やらないこと、、
たとえば、わが家がキャンプに持って行く大きな椎の木の薪をこれで叩いて割ろうなどとは考えません。明らかに許容範囲を超えているからです。また、スライスされていない食パンをきれいに切り分けようとするのに IZULA は使いません。これもまた IZULA のブレード長を超えた作業だからです。チョッピングも普通に考えればやるわけありません。その気になればやれるのでしょうが、それをしなければ生存できない様なシチュエーションでもない限りやりません。
あたしにとってこの IZULA 440C はフォールダー(折り畳み)にとって代わる存在です。あたしにとってフォールダーは若い頃から使い慣れた最も身近な道具の一つであり今もそれは変わりません。必要な時の携行もフォールダーは目立たず、その点で使いやすいのは言うまでもありません。ところが、いざキャンプやひと所での作業となると首からぶら下げた小さなシースから真下に引き抜く IZULA の方が手軽に感じられることがあるのです。フォールダーとフィックスト、折り畳みか固定か、ただその言葉だけで比べれば双方には対比できない領域が存在しています。しかし、この小さなフィックストブレードはその領域を超える存在なのです。どちらにも行き来ができる存在です。手元でやる細かな作業からバトンの様な叩き技もこなします。
この程度の太さならコツン!と一発で済みます。
少し手が大きな人には IZULA のハンドル部は小さすぎはしないか? IZULA 2 のハンドル長が小指一本分延長されたのはそんな理由からだと思われます。上の写真は、IZULA 440C のハンドル部です。オリジナルはハンドル材が付いておらず一枚の鋼材の状態です。勿論そのままでも使えますがツルツル滑ってシースから抜きづらいのでオプションの G10 ハンドルを取り付けました。しかし、それだけではアタシの手にもやや小さく感じられます。そこで、、
写真のようにランヤードホールにパラコードなどを取り付け小指を通して握り込めばハンドル長の短さが解消されます。
Spyderco の DELICA 4 の方がハンドル長が長いのです。
この2本、IZULA 2(奥)と手前の IZULA 440C 。どちらも実用的な作業ナイフです。タッチ(切れ味)や手入れのし易さの差もあるからか最近は 440C ばかりが使われています。基本的に手入れは拭き取りだけでノンオイル。木材から食材まで使えてキャンプから低山歩きまで幅広く使われます。ただ、IZULA 2 もこれまで魚を捌いたり台風時の雨の中の作業に使われたりカーボンスチール鋼材としては錆の心配をしなければならない使われ方をしてきましたが、未だに錆一つ浮いておりません。
さあ、今回は【 道具のその後 その2 】として ESEE IZULA 440C を取り上げました。このキレモノの最大の魅力はなんでしょう? それは《畳めない》ことに対する構造的な安心感か、ステンレス鋼であることのイージーさか、フォールダー並のサイズ感か、そう、そのどれもなのです。私には案外一番性に合っているキレモノなのかもしれません。自宅では軽くて扱い易いフォールダーがいつもポケットに収まっています。しかし、いざキャンプ(デイを含む)低山歩き、サンデードライブなど外ではコレがレギュラーなのです。鋼材のスペックや価格など上には上がありますが、それらが全て《使える》キレモノだとは限りません。この IZULA は間違いなく《使える》キレモノです。
ponio でした。