GERBER のナイフと言えば何を思い浮かべますか?マグナムハンター? 400シリーズ? FS 1・2・3?それとも
バックルナイフ?はたまたボルトアクション? ポールナイフ? アーモハイドのグリップ? ハイス鋼?
私は、、そんな通ではなかったので、、
GERBER と言えば、LST でした。
若い頃、私は GERBER ではなく BUCKの#501というフォールディングナイフを愛用していました。ホローグラインドに仕上げられた良く切れるナイフでした。私の勤め先では社員からバイトまで各々好きなフォールダーを身につけて様々な作業に使っており、私は始めスイスアーミーナイフ(ビクトリノックスのスーベニア)をKEY-BAKに付けて使っていたのですが、やがて BUCK#501 に乗り換え長年愛用しました。当時はまだ古き良きフォールディングナイフがいろいろ手に入った時代。通な人は GERBER のナイフを薦めてくれましたが、、当時の私にはあまり魅力的には映らなかったのかもしれません。

*GERBER LST(90年代終わりから2000年頃の写真)
LST は《 Light, Smooth, Tough 》 の略。赤いハンドルとカムフラージュの二種類を持っておりましたが、、二本ともどごさいったべ〜?特に写真の赤いハンドルのモデルは当時使っていた Trangia の赤いケトルと並んで愛着のあるものでした。
それから少ししてG・SAKAIから発売されていたシルバーナイト250スクリムショーを買ってこれも長年使いましたが紛失。90年代に GERBER LST を2本買いましたが今は一本もありません。失くしたのか誰かにあげたのか、記憶すらない。ただ、LST のあの軽さ、アクション、扱い易さは深く記憶されております。

Vascowear Steel (V steel)GERBER FS Ⅱ
90年代の終わりに店頭で売れ残っていた青箱の FS Ⅱ をお安く手に入れました。が、時代はすでに Spyderco に代表される樹脂系ハンドルとポケットクリップ、ワンハンドオープン可能な軽量のフォールダーが勢力を拡大していた頃、、これもそんな時代に取り残されたモデルの一つでした。この頃のモデルは作りも悪くブレードはオープンした状態で左右にガタがありました。切れ味は、、普通でしたね。その後、何度か作業に持ち出して使いましたがこれと言った記憶もなく、いつのまにか控えのまた控え的存在に、、。

この FS Ⅱ 、しばらく(何年という単位で)お蔵入り衆の一員として身を潜めておりましたが、道具整理の度に引っ張り出され研ぎ直しされたり、チョコっと使われたり、Kershaw 1056 と並んで《古き良き》肩書きだけで生き延びてきました。同じ様に《古き良き》香りプンプンだった BUCK #110 は今から20数年前に和歌山のとある浜で焚付けのフェザースティック(当時はそんな言葉は聞いたこともなく)作ってる最中にブレード先端がポキン!と折れてサヨオナラ〜。

GERBER FS Ⅱ 良く切れるように刃付けを変えてあります。

Kershaw 1056 こちらも刃付けを変えてから自分好みのタッチになりました。
それから時は過ぎて、、このお二方とも持てる性能を発揮することなく今に至る。

GERBER FS Ⅱ と CASE P10051L
このサイズ感が両者の使用頻度につながりました。当時の自分にとって FS Ⅱ は少しばかり大きすぎたのです。つまり、選択ミス。ポケットナイフと呼ばれる部類の大きさである CASE P10051L はその後もバックパッキングやキャンプ、仕事から自宅での作業まで幅広く使われてきました。
私は道具としてのナイフが好きで何本も持っているけれど、コレクターではありません。価値ある物も、これから価値が上がりそうな物も構わず使い倒すのが私流です。必要な物しか買わないし、その際も用途に見合った値段のものしか買いません。そんな私の流儀に合った GERBER のモデルは、、当時 LST だけだったのです。
▪Overall Length: 6.1"
▪Blade Length: 2.63"
▪Closed Length: 3.61"
▪Weight: 1.2 oz.
▪Lock Mechanism: Lock-back
▪Blade Style: Drop Point
▪Blade Material: 420HC Stainless Steel
▪Blade Type: Plain Edge
▪Handle Material Glass-filled nylon
▪Lifetime Warranty
▪Made in USA
ブレード長は約 6.7cm、鋼材は420HC ステンレス
刃つけはかなり荒く光の乱反射からもそれがわかる。
箱出しでの切れ味は悪くはないが、良くもない。
ハンドルの素材は《 Glass-filled nylon 》と呼ばれるガラス繊維入りのナイロン樹脂。軽くで丈夫。金属製のライナーなども入っていない。アクションはスムース。
ブレードは開閉時この位置で一旦止まる。
基本的には両手を使ってブレードを開くタイプのナイフだが、この様にブレードを持ってハンドルを下に振るとパチン!と開いてロックがかかる。ナイフに負担がかかるという人もいるが、これまで一度も壊れたことがない。使ってナンボです。
ここ一年ほど不動の《 EDC ブレード 》の座を独り占めしてる WENGER のバルダンとの比較。
サイズ、切れ味共に若き日の愛刀 BUCK #501 に似ている CASE P10051L との比較。
三代目の LST を囲んでポケットナイフの宴。
左から二番目の MOKI は日本の職人さんらしい丁寧な造り込みと美しさ、右端の CASE ナイフは同時代の製品なれど雑な造りと研ぎ直せばカミソリのような切れ味に変わる米国製らしいキレモノ。
新品の状態から惜しげもなく耐水ペーパーにコシコシと当ててザラザラのべベルをざっと平す。番手を細かくして根気よくやればツルピカのエッジに仕上がるのだが、使ってナンボのアタシはざっとで十分。この後、一緒にシャワー浴びて研ぎカスなど洗い落とす。この状態で足のスネ毛がショリショリ剃れます。
ブレードのスタンプもさみしくなりました、、。
前に持ってたのはこんなだった、、かな?
私が LST を最初に買ったのは、、GERBER がフィンランドの FISKARS の傘下になった後のこと、、箱は青箱でした。赤いハンドルの方はポケットクリップが付属しておりましたが、これがグラグラで何とも使い心地の悪い代物でした。
今回、三代目の LST を手に入れました。価格は¥2.700也。このナイフは《使えるナイフ》です。装飾性は皆無、コレクションとしての価値もない、でも、《使える》奴なのです。あの頃、若かった頃の自分には無かった研ぎのコツを注ぎ込んで、この三代目をあの頃以上に《使えるナイフ》にしたいと考えています。このわずか34gのナイフが EDC ブレードとして活躍する日は近い、、?
到着の翌日からさっそく現場に入ってもらいました。
なんのストレスもなく開いて切って閉じて直す。
これこそフォールダーの基本ですね。
デイキャンプにもそのまま持ち出して。日常使いだからこそキャンプでもストレスなく使えるのです。
傾いた秋の陽射しがやさしい午後。落ち葉を寝床に一枚。日常使いの道具は色んなことをさせられる。
ほぼ枯れかけた落ち枝を削ってみる。切れ味よりタッチをみる。木質にもよるけど、、タッチは柔らかめでした。
調子こいて、ブレードの背を太い落ち枝で叩いて削り残した部分を断ち切る。こんなことさせられるなんて、、
フォールディングナイフも楽じゃない。もちろん、こんなことはシースナイフ、いや、鉈やアックスの仕事なのだ。ごめんね、LST。
2019年の春真っ盛り。GERBER LST は完璧に仕事用のブレードとしての地位を確立しております。やっぱり素晴らしい!